「親ペナルティ」の意味をご存知でしょうか。
子どもをもつ夫婦と子どもをもたない夫婦を比較すると、子どもをもつ夫婦の方が様々な負担(ペナルティ)が増えて、幸福度が下がる傾向があるそうな。
そこで今回は、子供をもつことで本当に個人や夫婦の幸福度は下がるのか?
高齢出産における「親ペナルティ」にはどのようなものがあるのか?
主観的幸福感についての様々な研究論文の比較検証と、私が高齢ママになってみて感じたことをまとめました。
これから親になろうとしている方々に読んでいただきたい記事になります。
子どもをもつと主観的な幸福度は下がる
…と聞くと、反発したくなりますよねぇ(^^;
妊活を頑張っている方や、子育て真っ最中で一生懸命な方、子育てがひと段落して立派に育った我が子を誇らしいと感じてる方には、納得できない話です。
そもそも子どもは、自分たちの幸せの過程に授かるものであって、人生の幸福度を測る尺度ではないとも思います。
では、なぜ「子どもをもつと主観的な幸福度は下がる」と言われるのでしょうか。
子どもの有無と幸福度に関する海外の研究
(前略)
英語圏では、この問題について、子どもの有無と主観的幸福感との関連から、1970 年代より、例えばGlenn & Weaver(1979)など、大規模調査のデータを用いた分析が行われてきた。
多くの研究結果は、(前略)他の要因が統制されていれば、子どもを持つことは成人の主観的幸福感を低くするという傾向を示している(Stanca, 2012)。
また、最近の研究動向をレビューした Hansen(2012)も、近年の横断的、縦断的研究の大半も同様の結果を示しているという。
このように、「子供をもっている人たちはもっていない人よりも幸福度が低い」ということは、世界各国の数々の研究で明らかになっているそうです。
なぜそうなるかというと、人々が考える幸福には大きく分けて、生活水準の満足度と、感情的な満足度があるからだと考えられています。
つまり、子どもをもつことで、経済的な負担や精神的なストレスを抱える側面が大いにあるので、その切り口で見た場合に「幸福感が少ない」という結果になるようです。
子どもの有無と幸福度に関する日本の研究
以下は、女性における幸福度の世代間格差(経済のプリズム No144 2015.11)という論文を簡単にまとめたものになります。
この論文では女性にスポットを当てて、世代別の幸福度の違いや、それが起こる背景について調査したものです。
- 子供がいる女性は、新しい世代ほど幸福を感じにくい
- 世帯収入が少なく、仕事をしている子持ち女性は、特に幸福を感じにくい
- 育児と家事の時間は、男性よりも女性が圧倒的に長い
- 就業している場合においても、女性の育児と家事の負担は、男性と比べて圧倒的に重い
このように、子供がいる女性は最近の世代ほど主観的幸福度が低く、世帯収入は主観的幸福度に大きな影響を与えるということが示されました。
また、上記のようなことを背景に、子供がいる女性の場合は専業主婦である方が主観的幸福度を高くすることも分かったそうです。
生活の形が変わっても母親の負担はそのまま
昔は、「父親が働きに出て、母親は家を守る」というライフスタイルで、祖父母と同居で日常的に孫の面倒を見たり、地域との関わりも密接で、育児で孤立することはありませんでした。
しかし現代では、専業主婦よりも共働きの家庭が増え、また両親と別居するケースが多くなっています。
妊娠出産を機にフルタイムで働きたくても働けず、フルタイムではないという理由で、家事や育児の負担を多く強いられる傾向がある現代の母親。
家事を仕事に換算した場合、あきらかに女性の負担だけが増大している結果になっています。
子どもが生まれて嬉しいのに、幸福感が減ってしまうのは、生活や子育てに追い詰められた母親の厳しい現実がそうさせているのかもしれません。
- 子育ての経済的負担の拡大
- 自分の自由な時間が十分に確保できない
- 育児・家事・仕事と負担が増大し、苦労する女性が増えた
Motherhood penalty(母親ペナルティ)とは
子どもを持つ女性が子どもを持たない女性と比較して、賃金が低くかったり、雇用チャンスを逃す現象などを、社会学では「motherhood penalty」と言います。
- 母親の時給は非母親の賃金よりも、子供1人あたり約5%低くなる
- 母親は非母親よりも、雇用される可能性が79%低くなる
- 母親が昇進する可能性が、非母親よりも100%低い
上記はアメリカにおける研究報告ですが、諸外国でも職業的地位の低下、男女間賃金格差の拡大など、数多くの報告がされています。
日本における母親ペナルティ
日本においても、ほとんどの女性が結婚・出産を期に仕事を離れざるを得ない「社会の仕組み」になっています。
また近年では核家族化が進み、女性一人で行う育児(ワンオペ育児)も今や珍しくありません。
- 再就職に関する不安
- 自分が社会から取り残されている感覚(社会的孤立)
- 母親としてしか見てもらえず、自分の存在価値が揺らぎやすくなる
- 育児に完壁さを求められているという強迫観念
福利厚生・公的援助の低さ、復帰を妨げる保育施設の欠乏など、「子どもをもつこと」自体が母親のキャリア・アイデンティティーを犠牲にして成り立つ部分が大きく、母親が受けるペナルティーは甚大なものになります。
妊娠後の生活の変化についてはこちら。
親になるとペナルティがあるの?
前述のようなことを集約するべく作られたと推測される造語が「親ペナルティ」という言葉になります。
2年ほど前に以下の記事で紹介され、プチ炎上したようですね。
子供を持つ夫婦と子供を持たない夫婦がそれぞれに感じる幸福度のギャップのことで、一般的に幸福度は「子供を持つことによって下がる」と言われる。
では、具体的にどのようなことが親ペナルティにあたるのか、以下でざっくりとまとめました。
親ペナルティ① 教育費
子供を一人育てるのに、数千万円かかる…という話を耳にしたことがあると思います。
教育費問題は、子どもを持つことに躊躇する理由の第一位に挙げられるのではないでしょうか(;´・ω・)
(中略)
未就園児4年間で337万円、保育所・幼稚園児2年間で243万円、小学生6年間で692万円、中学生3年間466万円となり、これらの合計は約1740万円となります。
高校と大学の生活費を、中学と同等の食費と生活用品費として年間45万円とすると、7年間で315万円です。(中略)
高校と大学の学習費は、公立高校・国立大学と進むと約377万円となります。
私立高校、私立理系大学となると合計 842万円。
公立高校・国立大学パターンであれば子育て費用合計は2432万円程度、私立高校・私立理系大学パターンであれば合計2897万円です。
2019年10月からは無償化に伴い、3歳以上の「保育所・幼稚園児2年間で243万円」は無くなりますが、それでも大変な金額なので、しり込みする気持ちもわかります。
ただ、これらは生まれてから22歳までにかかる長期的な費用になるので、キャッシュでポンと用意できなくては子どもが持てないわけではありません。
必ずしも十分な余裕がなければ子供をもてないわけではなく、育児中には様々な公的支援もあります。
上記の試算でも、中学までの15年間で月1万5000円(年間17万円・計255万円)程度の子どものための貯金も含まれているそうです。
- 幼児教育・保育の無償化
- 児童手当がつく(中学卒業まで)
- 子ども医療費助成で医療費の負担がほぼかからない
- その他 社会人になるまでの税支援
子育て世帯に対する国の補助は、家庭の総所得によって補助金額が異なります。
収入が基準より少ない場合は、最大で2000万円程の公的支援が受けられるようになっているようです。
(逆に収入が基準よりも多い場合は平均よりも少なくなります)
親ペナルティ② 余暇・資金・責任
これは老後資金の貯蓄も含め、自分たちが使えるお金・時間は当然ながら減ります。
家計の「一人当たりのゆとり」を見た場合、子どもをもたない夫婦世帯では月額12万円台であるのに対し、子どもをもつ夫婦世帯では 2~7 万円という報告もあるそうです。
- 育児休暇期間の年収減
- 学費貯金
- その他子育て費用の支出
趣味・外食・旅行などにあてていた費用や時間は、多くは子どものために使うものになります。
女性であれば、美容やオシャレにかけていた時間や費用も激減しますし、交友関係や会話の内容も変わったり。
実際に私も子どもがいる/いないで全くライフステージが異なることを実感してます。もはや別の時間軸に生きているのかな? と思うほど。
今までの「普通」はくつがえり、思い通りにならないことが増える中、子どもの将来や社会的な責任が大きくのしかかっていきます。
自分たちの生活水準や育児環境、親の方針や選択によって、子どもの未来を左右させてしまうのではないかと、心配で不安で眠れなくなる夜もあるでしょう。
親ペナルティ③ 気力と体力
これは子どもが赤ちゃん~小学生くらいまでの間は特に顕著で、ライフがガンガン削られていく中で、変わらずに生活を維持していくことの大変さは言葉に言い表せません。
親をお休みできる日は一日たりとも無いので、心身ともにすり減る毎日が続きます。
世間一般の休日は存在せず、週末や長期休暇は「子どもをどうガス抜きさせるか」でてんやわんやです。
主人もよく「双子の世話をするより会社で仕事していた方が楽」とぼやいていますが、賛同する方も多いのではないでしょうか(;^ω^)
- 24時間対応の乳児のお世話
- 体力が有り余る幼児の相手
- 第1反抗期(2・3歳頃から)
- 第2反抗期(12歳前後から)
ようやく食べれて歩けてお話ができて、少しは人間っぽくなってきたかと思ったら、イヤイヤ期・ナゼナゼ期など自我の芽生えによる反抗が始まります。
保育園や幼稚園が始まれば、怒涛の病気ラッシュで、免疫がつくまで1~2年は大変な思いをすると思います。
それ以降も、思春期の子どもや学校との関わりは思うようにいかない事ばかりでしょう。
(私もたくさん迷惑をかけた覚えがあるので、今となってはよくキレて放り出さなかったなーと親の偉大さを噛みしめております^^;)
高齢出産の親ペナルティ
上記に加え、近年の晩婚化に伴い30後半~40代で高齢出産した場合、周囲の親世代とのギャップに苦しむことになります。
- ママ友との世代差(話が合わない)
- 運動会などでの周囲の親との体力差
- 授業参観などでの周囲の親との年齢差
また、高齢出産を後悔した点でよくあげられるのは、以下のようなことです。
- 妊娠・出産時のリスク
- 育児における体力・気力
- 将来の健康(病気など)
- 子どもが成人・結婚したときの親の年齢
- 祖父母の高齢化(介護など)
- 孫ができた時に自分が高齢化している不安
うちの双子男子も私が35歳、主人が40歳の時の子どもになるので、上記のような点を不安に思っています。
まぁ私たち夫婦の場合は晩婚だったので、これでも割と最短コースで、妊娠出産の時期に後悔はないですが(;´∀`)
不妊治療についてはこちら。
子どもの有無で幸福度は変わらない
私たちの親から上世代においては、「結婚し、子どもを産むことが幸せ」「親になって初めて一人前」「子どもがいない人生は空虚で孤独」といった古い考えが根強くあります。
一昔前は人生の選択肢の幅が狭く、また家族を作る事は「従うべきライフコース」で疑うこともなかったかもしれません。
しかし、結婚や子育てといった人生設計が必ずしも絶対ではなくなってきた現代では、「結婚をしない」「結婚しても子供をもたない」という選択をする方も増えてきました。
そんな時代に、何をもって「幸福度」を測るのか。
この軸を変えるだけで、結果は全く違うものになります。
親ペナルティがあったとしても子どもをもつ意味
女性の社会進出が普及し、自分のタイミングで結婚や妊娠・出産を選択するという風潮が一般的になっています。
- 結婚や子供をもつことが、現在の社会的成功、個人(夫婦)の充実した日常における足かせになる
- 結婚や子供をもつことで、新たなステージでの自己実現、人間的成長、家族の関係性などの価値が得られる
この相反するようで、ひとつの線上にある価値観のシーソーがどちらかに傾いたときが、ライフステージを選択するタイミングになります。
第一は,子どもをもつことによって家庭がにぎやかになる,夫婦の絆が深まるなど,家庭や夫婦にとっての意味としての〈情緒的価値〉,
第二は,次世代育成という社会にとっての意味としての〈社会的価値〉,
そして最後に,子どもを育ててみたい,生き甲斐,自分自身の成長という〈個人的価値〉が挙げられている。
とりわけ最後の〈個人的価値〉は,女性自身にとっての価値という意味合いがより強化されている。
逆に,子どもをもつにあたっての制約条件として,個人的条件(経済的条件,夫婦関係)と,社会的な支援体制を挙げている。
今日子どもをもつ意味づけは,その制約条件との比較考量を通じて行われていく。ここに「子どもの発達にとっての親」から「親にとっての子ども」へという視点の逆転が成立する。
様々な事情で、結婚しない・子どもをもたない・もてない場合も、選択を積み重ねた結果であって、夫婦や家族の形はそれぞれであり、それが良い/悪いと他人が判断するのはおかしな話ですよね。
米英の「子供をもつ親の幸福度」調査
子どもを授かり、ライフステージが変わった場合と、変えない選択をした場合の違いはあるのでしょうか。
以下は、米英の2つの調査をまとめたCNNの報告になります。
(中略)結論から言うと、収入や教育、健康状態といった要因を除けば、子どもがいるかいないかで人生の満足度に「ほとんど差はない」という結果が出たという。(中略)唯一違いがあったのは、子どもをもつ夫婦の方が大きな浮き沈みを経験しがちなことだった。
(中略)これに対して、英オープン大学が英米で5000人を対象に実施した調査では、子どものいない夫婦の方が、子どものいる夫婦に比べて、夫婦関係に対する満足度が高く、関係を保つことに努めていることが分かったとしている。
(中略)子どものいる女性は、子どものいない女性を含めたどのグループよりも、はるかに幸福度が高いという結果が出ている。これは母親が子どもを一番大切にしていることと関係があるという。
人生における主観的な幸福度は、体験したことをベースに感じるものなので、性別差を含めて「それぞれの幸福感」に影響を与える要因の違いによって、「今の満足度」が異なってきます。
子どもがいる/いない以前に、良好な夫婦の関係性があれば、幸福度は高くなる傾向があると言えます。
その上で、子どもを持つ親は持たない親に比べると、相反するたくさんの感情の起伏(怒り/喜び・悲しみ/楽しみ・心配/笑い)を経験する可能性が高くなります。
自分たちのことであれば簡単に気持ちの処理ができるようになった大人でも、我が子には振りまわされっぱなしで、自信を無くして落ち込むことも多いでしょう。
しかしその分、子どもがいることで想像もできないくらいより多くの幸福感や笑顔を得ることもあるのです。
日本の「子供をもつ親の幸福度」調査
以下は、内閣府経済社会総合研究所が平成29年1月に発表した報告になります。
(前略)子供の出産・誕生が主観的幸福度に与える影響を男女別に見ると、男女とも、子供が誕生した人はこの二時点間で、上昇していた。
男性は、5%水準で、生まれなかった人と比較し、主観的幸福度の変化幅は有意に高かった。
また、子供が生まれる前の幸福度の水準が既に高い。
(中略)以上の集計では、概ね配偶者のいる人、子供のいる人の幸福度は、そうでない人より高いことを確認できた。
(中略)また第一子の誕生の前後に、多くの人が最高の主観的幸福度を感じる可能性があることが分かった。
この調査では、配偶者がいること・子どもが誕生することについて、男女ともに主観的幸福度が上がっていたそうです。
また、子どもに関しては、女性は産まれる前から幸福度が高いことに対し、男性は生まれた後から幸福度が高くなるという回答だったとか。(納得の結果!)
妊娠・出産体験は目からうろこの連続!
私も主人と出会う前までは「結婚願望ゼロ」「子どもいらない派」「自分や好きな人のために時間やお金を使いたい」「一人になる時間も欲しい」というタイプでした。
今思うと、若いころは自分たち優先で「親ペナルティが嫌だった」とも言えます(笑)
海外旅行やお酒や買い物も大好きだったし、お化粧やおしゃれもずっとしていくものだと思っていました。
しかし「主人に子供を抱かせてあげたい」という一心で、妊活からの妊婦生活が始まり、あっという間に双子出産で二児の母。
この妊娠・出産・育児の体験は、もう変わることがないと思っていた自分の限界や殻を壊して、はるか先まで押し広げてくれました。
「自分にこんな慈しみ深い心があったのか」「こんなに我慢強かったのか」と日々驚くことばかりです。喜怒哀楽の桁が違くて、感情のタガが外れるというか。。。
時間・体力・気力・資金、ぜんぶ吸い取られても、今までの人生の尺度では測れない幸せパワーが子どもにはあると感じています(*´ω`*)
母性ゼロでドライな私が子供をもとうと思った訳はこちら。
人生の幸福度は親ペナルティに関係しない
ここで一度「人生の幸福度」とは何かを考えてみたいと思います。
主観的なものなので、他人が客観的に見てどうこうではなく、「自分が幸せと感じているか」という質問になるので、具体的な指針がないと統計が取れません。
そこでよく使われているのが、カウンセリングなどで使用される「WHO SUBI」があります。
いわゆるメンタルヘルスチェックで、肯定的な感情・否定的な感情の割合などを、様々な質問で「心の健康」「心の疲労」「満足度」の3要素から診断する検査です。
心の健康度で主観的幸福度を測る
以下からは、子どもの有無と主観的幸福感(心理学研究 2015 年 第 86 巻 第 5 号 pp. 474–480)を参考にしています。
主観的幸福感の尺度は(中略)WHOが開発した“心の健康自己評価質問紙”(Subjective Well-being Inventory)40 項目をもとに、“結果としての心の健康感”を表す 4 領域(人生に対する前向きな気持ち、自信、達成感、人生に対する失望感のなさ)12項目により作成されたものである。
(中略)基礎統計から,45 ─ 60 歳の有配偶者においては,子どもの有無および性別による主観的幸福感の違いはみられなかった。
本論文の冒頭で取り上げた,子どもを持つ者のほうが幸福感が高いとする通俗理論を,本研究の結果は支持していない。また,英語圏での多くの研究で示されている,子どもを持たない者のほうが幸福感が高いという傾向も本研究の結果は支持していない。
「WHO SUBI」を参考に考えられた「12項目の合計点」を主観的幸福感の得点にした結果は、以下の通りだったそうです。
主観的幸福感
➡ 子どもの有無で差がない
世帯収入
➡ 子どもの有無で差がない
夫婦の共行動(食事・買い物・旅行・趣味・映画鑑賞)
➡ 子供なしの方が高い
社会的活動(ボランティア活動や地域集団との関わり)
➡ 子供ありの方が高い
次世代育成(他者の乳児~青年との関わり)
➡ 子供ありの方が高い
「子どもの有無で主観的な幸福度が下がる」という各国の研究報告も、そのベースになった複数のデータをきちんと精査し、条件を一定にするように変数をコントロールすることで、結果はぜんぜん変わってくるんじゃないかなーと思いました。
観察者の焦点を少し変えるだけで「幸福度が下がる↔上がる」と変化するのなら、今回の「変わらない」という結果の方がしっくりくる気がします。
主観的幸福度の男女における違い
この調査で、主観的幸福感の要因を男女別で比べたところ、女性の場合でのみ「子どもの有無」によって結果が異なったそうです。
つまり女性の方が子供の存在が大きいと感じている、ということがいえるかもしれません。(確かに妊娠出産体験は人生観が変わります^^)
中年期の男性の幸福感
- 男性では子どもの有無にかかわらず、社会経済的な面を重視する傾向がある
- 世帯年収、夫婦の共行動が主観的幸福感を高める
60歳以上の主観的幸福感でも、男性では「配偶者の存在」が幸福感を高く維持する上で重要との研究報告があるそうです。
いつの時代も男性は女性のために頑張ってくれるものなのでしょう^^
まぁその「頑張りの方向性」がとんちんかんで、「老後は夫婦で仲良く」と思ってたのに熟年離婚を突き付けられ、孤独感でボロボロ…なんて話もよく聞きますよね(´-∀-`;)
中年期の女性の幸福感
子どもを持つ場合
- 夫婦の共行動、世帯年収、社会的活動が主観的幸福感を高める
子どもを持たない場合
- 夫婦の共行動、次世代育成のための関わりが主観的幸福感を高める
60歳以上の主観的幸福感でも、女性の場合では「配偶者の存在」は一つの独立した要因で、その他の「一般的な対人関係」「地域社会での集団参加」など、他者との関わりや社会活動が幸福感を高く維持する上で重要との研究報告があるそうです。
確かに女性は、情報の交換・処理・収集能力に長け、家族や友人とのコミュニケーションに重きを置く傾向にありますよね。
子育て期間よりも結婚生活が長くなる分、人生の充実度に強い影響を与えるわけですね。
離婚すると、女性は我慢から解放されて生き生きしちゃうという話も聞きますが(笑)、逆に男性の高齢独り身はわびしいようです。。。
夫婦関係についてはこちら。
結局、みんなが思う主観的な幸福度ってなに?
子どもの有無にかかわらず、夫婦で共に歩み、収入の心配が少なく、自己の存在価値を高める活動があれば、幸福度が高くなるという傾向があるようです。
結局のところ、子どもを産むかどうかの選択で幸せになるのではなく、前向きな気持ちでいられるかどうかが重要なんですよね。
- 子供を持つことで幸福度が増す人たちは子供を持ち、子供がいるから、より良い生活を得ている
- 子供を持つことで幸福度が減る人たちは子供を持たず、子供なしでいるから、より良い生活を得ている
どちらが正しいのではなく、そもそも子どもに対するスタンスが違うし、人生における幸福度の嗜好が異なっています。
②の人が望まずに①に行けば不幸が待っているだけです。
つまり、もし子供の有無で幸福度を下げることがあるとすれば、子供が欲しいのに授かれなかった場合や、子供が欲しくないのに授かった場合であると考えられます。
しかし、ではそうなった場合に一生不幸なのかというと、当然そんな訳はなく、その結果を受け入れ消化し、人生を肯定的に歩むことが出来れば、最終的に幸福度が下がることは無いでしょう。
私も一人じゃ確実に共倒れしていたと思いますが、めちゃめちゃ助けてもらっているので、かろうじて生きています^^;
幸せな生活には、自分以外の誰かの存在が大きいことも確かなようです。
まとめ
- 子どもをもつことで発生する「親ペナルティ」は確かに存在する
- 主観的な幸福度は「親ペナルティ」で下がることは無い(子どもを授かった結果を受け入れられない場合にのみ幸福度は下がる)
- 人生の幸福度は、夫婦関係や心の持ちようで180°変わることもある
というおはなしでした。
結局のところ「人生の幸福感をどこで得るか」は人それぞれ、という至極当たり前のことがわかりました。
子供の有無 = 親ペナルティの有無で大別したとしても、今まで自分たちが選んできた選択の結果である「現在の生活」の中で、幸せを感じられる心を持っているか・努力できるかで、充実感や幸福感は全く変わってきます。
そこで主観的幸福度をいったん脇に置き。
実際に私が高齢ママになってみて、「子どもをもつ」ことに関してだけ考えてみました。
- 子どもとは、親や家族に「喜びと悲しみの両方をもたらす存在」である
- 妊娠・出産・子育てとは「別の次元へ引っ張り出される体験」である
ゲームでいうところのジョブチェンジでしょうか(笑)
装備も経験値もゼロに戻されて、始まりの町で聞き込みして回るところからスタートする。
当然、見えてくる世界も変わります。
無償の愛・かけがえのない存在の子ども
ニコッと笑いかけてくれるだけで、今までに感じたことの無いくらいキュンキュンするし、病気やケガをすると、これ以上ないくらい落ち込みます。
イライラもするし、小憎たらしく感じる事もあるし、たまには自分の趣味の時間もお金も欲しいと思うけど、「それとこれは次元が別」って感じです。
これは、昔の自分には無かった感情のふり幅で、言葉以上のものは体験しないと分かりませんね。
でも別に知らなければ知らないままでも幸せに暮らせると思っています(笑)
子どもをもつ前にだって愛情や幸せは確実にあったし、体験していない感情があったからって特に困ることはないし、そもそも「知らない」のだから「主観的」幸福度は下がりませんよね。
(知ってから失くすと想像もしたくないくらい悲しいと思いますが…)
たまたま結婚した相手が「子供をもちたいタイプ」だった結果なので、もし万が一「子供をもちたくないタイプ」と結婚していたら、今のこの感情を知らないまま死んでいたんじゃないかなー。
特に私は「自分には母性なんてない」と思っていた人間なので、他人が言葉で伝えようとしても、「へぇ」で終わっていた気がします。
子どもをもたなくても「無償の愛」を多くの人へ与えられる素晴らしい方もいるでしょうけども、私は子どもを通して体感することで、初めて言葉の意味がしっくりきました(*´ω`*)
なので、私は子供をもたない方に「子供っていいよ!」とは勧めません。親バカは親になってみないと分からない不思議な現象なのです。
そう考えると新しい扉を開けてくれた、主人と双子には感謝ですね!(´艸`*)