妊娠中期に入ると、子宮頸管長を測るようになると思います。
妊娠するまで意識することのない場所ですが、子宮頸管の長さはなぜ重要なのでしょうか?
また、子宮頸管長の結果に差が出て、伸び縮みしてるかのようになるのは何故なのでしょう。
子宮頸管長と早産の関係、子宮頸管はいつから・どうやって測定するのか、子宮頸管の長さの測り方の種類(直線・曲線)、子宮までの長さの測り方による誤差の理由についてまとめました。
目次
なぜ子宮頸管の長さを測るのか
子宮頸管とは「子宮の出口」部分にあたり、子宮頸管長とは「子宮までの長さ」のことを言います。
赤ちゃんのいる子宮内の出入り口にあたる内子宮口側から、膣の部分につながる出入り口にあたる外子宮口までの、いわゆる「産道」と言われる部分のことです。
妊婦健診の際には、経腹超音波検査で子宮頸管を注意深く観察し、子宮頸管長を計測したり、子宮口が開いていないかどうかを調べています。
最近は経膣超音波断層検査で子宮頸管を詳細に観察することができるので、エコー検査を行うことで「何らかの異常がないか」の早期発見を目的としています。
子宮頸管長を測る意味
妊娠中期に行う経腟超音波の主な目的は、子宮が大きくなっていくなかでの子宮口の経過観察になります。
- 早産兆候の確認
- 前置胎盤の有無
- 前置血管
- 臍帯下垂
- その他、分娩時のトラブルの有無
こういった危険な兆候がないか、妊婦検診では診ているんですね^^
子宮頸管が短くなる原因についてはこちら。
子宮頸管の役割
子宮頸管は、妊娠前には精子を子宮内に進入させやすい状態になり、受精させる手助けをしてくれます。
妊娠してからは、外から細菌が侵入するのを防いだり、赤ちゃんが子宮外に出るのを防ぎ、お産の時には赤ちゃんが通りやすい状態に変化していきます。
このように子宮頸管は、その時々に合わせて重要な役割を担っています。
子宮頸管は赤ちゃんが無事に生まれてくるその時まで、きちんと閉じていなくてはいけないんですね。
子宮頸管と便秘の関係についてはこちら。
妊娠週数に対して子宮頸管長が短いと考えられるリスク
子宮頸管長が短い方【リスクについて】
子宮の入り口の長さを子宮頸管長といいます。
子宮頸管長がなぜ短くなるかはわかっていませんが、子宮頸管長が短いと早産のリスクが高いことはわかっています。
妊娠24週での子宮頸管長の平均は約35mmで、25mm未満の場合早産となるリスクは約6倍、13mm以下では約14倍といわれています。
上記からも子宮頸管長が3㎝を切ってくると早産のリスクが上がることが分かります。
逆に言えば、3.5~4㎝あると安心なんですね。
子宮頸管長と早産の関係
子宮頸管長は画像で測定するので、医師による主観以外に「客観的に評価できる検査」です。
子宮口が内子宮口側から開くことを超音波でみつけることで、早産の徴候を見逃さない事が必要になります。
早産のリスクが高いものとしては、以下のことが考えられます。
- 前回の分娩が早産
- 多胎妊娠
- 円錐切除術後
このような早産ハイリスク妊娠の場合には、子宮頸管無力症が発生していないか確認するために、妊娠14~24wの妊婦健診ごとに頸管長を測ることになります。
私の場合は「多胎妊娠」にあたるため、最初の妊婦健診の段階から子宮頸管長のチェックがありました。
実際に妊婦健診で子宮頸管長が短いと診断された様子についてはこちら。
もし子宮頸管長が妊娠週数に対して短く、切迫症状があると認められたときは、子宮収縮を防ぐ薬(ウテメリン)を処方される場合があります。
緊急度がそこまで高くない場合は、ウテメリン錠と自宅安静で一時的に経過の様子を見ることが多いです。
しかし症状が重い場合は、ウテメリン点滴と管理入院で「絶対安静」の診断を受けることに。。。
ウテメリンの点滴や錠剤についてはこちら。
妊娠週数別の子宮頸管長の正常値
- 妊娠18~24週で 4㎝以上
- 妊娠32週未満で 3.5〜4.0㎝
- 妊娠32週〜36週で 2.5〜3.5㎝
私の場合は、妊娠18wで2.4cmだったので、かなり危険度の高い状態だったことがわかります(´-∀-`;)
一般的に子宮頸管長が2.5cmを切ると切迫流産・切迫早産と診断されます。
私のように子宮頸管無力症だった場合や、子宮口が開いてきてしまっている場合は、マクドナルド手術やシロッカー手術で子宮頸管を縛る手術をする必要が出てくるかもしれません。
実際のマクドナルド手術についてはこちら。
子宮頸管長が伸び縮みする理由① 直線か曲線か
切迫流産や切迫早産と診断された場合、妊婦検診ごとに測る子宮頸管長の進退が気になりますよね(^^;
妊娠週数が進むにつれて短くなっていくならわかりますが、測るたびに長くなったり、短くなったりすることがあります。
管理入院中に毎朝ある経膣超音波検査で、 多くの先生方に診ていただき、子宮頸管長の測り方に2パターンあることに気がつきました。
どの計測方法が「絶対的に正しい」というものではありませんが、もし病院や先生が変わって前回の長さと全然違うよーということがあったら、参考にしてみてください。
妊婦検診で子宮頸管長を測る流れ
子宮頸管を測る健診の際は、まず検査台に上がり、経膣エコーで子宮内の撮影をします。
多くの場合、検査台の横にあるモニターにも子宮内の様子が映し出されると思います。
そして医師が外子宮口から内子宮口までの長さを、PCの画面上にマウスのカーソルを合わせて計測します。
そのカーソルの置き方によって、「計測結果が微妙に異なってくる」ということが、数多く子宮頸管長の測定を経験した上でわかりました(;^ω^)
それでは、実際の計測方法のパターンを2つに分けて見ていきたいと思います。
子宮頸管長の測り方① 2点測の直線タイプ
これが一番多いかもしれませんね。
エコーの画面を見ながら、カーソルで始点と終点を決めて、子宮頸管長の長さを測ります。
- 外子宮口側(スタート)
- 内子宮口側(ゴール)
この2点だけなので、例えば子宮頸管が曲がっていて直線でない時は、この測り方だと短く出てしまうことに!Σ(゚д゚lll)
ただし、このやり方だとぶれずに「○㎝ね!」とスパッと言うわれることが多いかもしれません。
子宮頸管長の測り方② 3点測りの曲線タイプ
この場合は、中間に一度中継点をとることで、やや曲線に近付いた計測方法になります。
- 外子宮口側(スタート)
- 中間地点
- 内子宮口側(ゴール)
以上の3点にチェックを置き、①〜②+②〜③の長さを合計するやり方です。
入院4日目の今日は、曲線タイプでササっと2回やって、「2.4cm~2.7cmね!」といわれたので、丁寧に2点測りで2回測って平均をとってくれた模様です(笑)
子宮頸管長の正しい測り方とは?
子宮頸管長短縮は早産予知マーカーとして非常に有用です。(中略)
外子宮口から内子宮口までトレース,または二直線の合計で長さを計測します。
その際,腟後壁を含めて計測しないよう,外子宮口の位置に注意します。
また妊娠初期〜中期には子宮体部下部がまだ開大していないため,頸管腺領域を参考に内子宮口の位置を決定します。
子宮底,あるいは恥骨上を軽く圧迫するpressure testを行い,再度頸管長を計測します。
これを読む限り、直線でも曲線でも測り方としては正しいことになります。
頸管腺は妊娠中に成長して、さらに頸管内膜は広がり、外界からの菌から赤ちゃんを守るために複雑な襞壁を形成します。
超音波画像では、この頸管腺領域の部分が周囲に比べて低輝度もしくは高輝度に描出され、これを頸管腺領域像(CGA)と呼びます。
つまり、「外子宮口から頸管腺領域像の頭側端までの長さ」が子宮頸管長とされ、計測するべき正しい範囲となります。
それを判断するのに、子宮底を押すなどして確認してねってなっているんですね。(実際のところ押された経験はありませんが^^;)
子宮頸管長が伸び縮みする理由② 内子宮口(ゴール地点)の位置
上記のように、子宮頸管長を直線で測るか・曲線で測るかで、若干の違いが出てきます。
特に画面で見てもわかるほど子宮頸管長が曲がってるときなんかは、直線でいいの? と思うこともしばしば(^^;
(しかし、どちらの測り方も間違っていないそうで。。。)
そこで二つ目の違いは何かというと。
子宮頸管長を測る際の始点と終点、そのゴール地点である「内子宮口」に合わせるカーソルの位置をどこで決定するかになります。
子宮頸管の内子宮口とは
内子宮口とは、赤ちゃんのいる子宮内に一番近い出入り口の部分を指します。
その内子宮口を詳しく見ると、実は2種類あったのです!
- 解剖学的子宮口
内側の胎児の成長に合わせて、期間や状態によって広がっていく部分
- 組織学的子宮口
妊娠末期まで、ほとんど緩んだり縮んだりしない部分
このどちらにゴール地点を置くのかによって、また誤差が出てくるというわけです。
しかし厳密にいうと「子宮頸管長として計測される」べきは以下の領域であるべきです。
- 子宮頸管部の外側(外子宮口)から、②の組織学的子宮口までの距離
- 変動する①解剖学的子宮口~②組織学的子宮口までの距離は計算に入れない(はず)
とはいえ、やはり目測のうえで「手動でカーソル位置を決める」ので、確実に毎回一緒であるとはいえないのです。
子宮口のカーソルを合わせる位置に個人差がある
特に担当医が変わると、癖も違うので計測値も変わりがちです。
先生によっては①の内側にかかってたり、ほんとぴったり②ですよね! って人もいて。
そこでの差は、普通に0.5㎝~1.5cmくらいあったりします(~_~;)
そしてその定規で見るとほんのわずかな誤差が、患者にとってみれば、精神的負担が増加したり軽減したりと、かなり左右されるのです。。。
子宮頸管長を測る担当医がどのタイプか把握しろ!
総合病院に入院すると、いろいろなタイプの先生と遭遇します。
- ササっと直線タイプ
- きっちりかっちりの曲線タイプ
- 内子宮口の位置に迷いながらカーソルを動かして、何度も測りなおす研修医タイプ
内子宮口の手前のほうで計測されると「ああー(泣)」って思うし、内子宮口のやや奥の方までで測ってくれると「いいの?(嬉)」って思います(;´∀`)
管理入院中に毎朝測っていて、日によってかなり子宮頸管長が変わるのは、測り方のせいもあると思います!
通院であっても、大きな総合病院の場合は、先生が変わることがありますよね。
その場合は、画面のカーソルの動きをよーく見ておくようにしてください。
まずは自分の主治医がどのタイプか見て、同じ癖で測られた頸管長は「おおむね一致しているんだな」と理解するといいと思います^^
流産と早産の予防についてはこちら。
まとめ
- 子宮頸管長の計測をすることで早産の兆候などを観測している
- 子宮頸管は七変化でいい仕事をしてくれている大事な器官
- 子宮頸管長は、担当医の測り方(直線・曲線)や測る箇所(内子宮口の位置)などによって多少の誤差は出る
というおはなしでした。
先生が変わると多少数値も変化することもあるんですね。
測ってるお医者さんはどうとも思っていなくても、切迫症状のあるママさんの気持ちとしては、その0.5mmが大事なんだよ!って感じなんですが(^^;
また測り方以外では、ママさんの体調によって変化することも当然あって。
子宮頸管長が突然短く計測された時は、エコー検査の前後に強い張りがあった場合も考えられます。
あれっと思ったときは、その場で聞いてみたり、再計測してもらってくださいね!