子宮頸管を縫う針と糸です。

不妊治療で妊娠して、高齢で双子というハイリスク出産になる事がわかってから、流産や早産について自分なりに色々調べていました。

子宮頸管長の重要性や、子宮頸管無力症のこと、またそれを防ぐ手術がある事を知って、子宮頸管縫縮術で流早産の危険を避けられるなら、管理入院より子宮を縛る手術をして自宅で過ごしたい!

もし手術をするだけで危険がなくなるならば、切迫流産や切迫早産に怯える妊婦にとっては夢のような手術です。マクドナルド手術やシロッカー手術を「流早産の予防」として出来ないのかな? と思っていました。

誰にとってもメリットが大きいように思えますが、マクドナルド手術・シロッカー手術には本当に「リスクが無い」のでしょうか?

マクドナルド手術・シロッカー手術の違い、メリット、デメリットについてまとめました。

 

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子宮頸管縫縮術とは?

自然に子宮口が開いてしまうことによる、流産や早産の治療・予防策として、子宮頸管を縫宿する手術のこと。

主に子宮頸管無料症と診断された場合や、切迫流産・切迫早産に適応されます。

最大のメリットとしては、物理的に子宮口を結んでしまうことで、流早産のリスクを減らせるところです。

子宮頸管縫縮術には2種類の術式がある

シロッカー手術 Shirodkar operation
内子宮口の高さで、子宮頚部の前方(膀胱側)と後方(直腸側)で切開して、直接筋層に糸をかける


マクドナルド手術 Mcdonald operation 
内子宮口よりやや下の位置に、切開を入れずに子宮頚部に4~5方向の縫合を入れる



2つの術式の違いはというと、内子宮口のどこの位置で縛るのかと、切開をするかしないか、縫合の方法の違いになります。

切開しないぶん、マクドナルド手術のほうが手術時間も短くて済むので、手術操作による流早産の誘発も少なくできるそうです。



シロッカー手術・マクドナルド手術についてはこちらの記事も。

 

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シロッカー手術・マクドナルド手術の有効性

では手術をすれば、確実に流産や早産を防げるのでしょうか?

子宮頸管縫縮術について医師の見解

妊娠24週までに頸管長が著明に短縮する場合には子宮頸管縫縮術を行うことがあります。

早産既往のない方で頸管長が短い方への子宮頸部縫縮術については有効性の見解について明確な方針はでていませんが、頸管長が15mm未満まで短縮した症例で縫縮術を行った方が行わなかったよりも妊娠延長したという報告があり、患者さんの状況を踏まえ判断させていただきます。

破水をしていないこと、感染や出血がないこと、陣痛が来ていないことが頸管縫縮術を行える適応となります。

早期外来/国立成育医療研究センター


上記を読むと分かるように、そもそも手術するには、ある程度の子宮頸管の長さや、張り・炎症が無いことが必須条件となります。

また、その有効性が確実に示されているわけではないので、病院や医師によって適応するかどうかの判断が大きく変わってくるのも特徴といえます。


妊娠中の張りについてはこちら。


シロッカー手術・マクドナルド手術自体に懐疑的な意見も

  • そもそも無力症であるかの判断も微妙で、医師によってかなり基準が異なる。
  • 子宮頸管を正確に測れない医師も居るらしい。 (マジか…)
  • 切迫流産・早産の原因は1つはないため、100%の結果が出る手術ではない。 



特に初産の場合は、 必要かどうか・有効かどうかは議論のあるところであり、医師の間でも見解が分かれる手術のようです。


子宮頸管長についてはこちら。



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シロッカー手術・マクドナルド手術で考えられるリスク

それでは、実際に子宮頸管縫縮術を受けることになった場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか?

 

手術後のリスク

  • 手術しても、経過良好でなければそのまま管理入院が継続される場合や、せっかく帰れても数日〜数週間後に舞い戻るケースもある。
  • 手術をした事によって、その機械的刺激で逆に子宮収縮(張り)が頻繁に出るようになってしまう可能性がある。
  • 破水の危険がある(一時的あるいは継続的に子宮の収縮が強くなった、胎児への感染などの理由)

 

もちろん、きちんとした医師・設備のもと徹底した検査と的確な処置を受ければ、手術自体は難しいものではなく、短時間で終わるものなので、怖がる必要もないと思います。

ただ、手術にはリスクはつきものであるという理解は必要です。


手術のリスクについてはこちら。

 

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出産前までのリスク

  • 手術前に除菌が徹底されず、子宮内で菌が繁殖してしまい、手遅れになるケースも。
  • 緊急出産時に予期せぬトラブルが起こった際、頸管を縛っているがために対応が遅れ、処置が間に合わない可能性もある。
  • いざ出産前になって抜糸するときに、縛っている箇所が癒着してしまって激痛を招く事も

 

出産はどんなケースでも、命がけの作業になります。

確実に安全なお産は存在しません。

しかし分娩前にシロッカー手術・マクドナルド手術を受けていることで、上記のようなリスクが出る事があるということです。


こういった「可能性」を上げ始めればキリがないかもしれないですね。。。(~_~;)



シロッカー手術・マクドナルド手術後の生活についてはこちら。



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医師の観点から手術の留意点

医師の立場では以下のようなことを注意しながら手術を行うそうです。

裏返せば、医師の腕次第で、その留意点が「リスクである」とも言えますね。

★シロッカー手術
・膀胱、直腸の損傷に注意する
・抜糸のことを考えて縛り固定する(結紮)

★マクドナルド手術
・子宮頸部支帯の位置をイメージしながら針を動かす
・子宮動脈損傷を避ける

★全身麻酔の準備も必要
・ショック等により、全身麻酔に切り替わる可能性を考え、機材準備と患者説明が必要になる


流産と早産の予防についてはこちら。



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実際にマクドナルド手術やシロッカー手術を受ける場合

現時点では、子宮頸管縫縮術が流早産の予防にどれだけ有効なのか、はっきりとは分かっていないようです。

有効であるという報告もあれば無効であるという報告もあります。


また同じ手術でも行う医師によって、上手い下手など「腕」の差もあって、単純な比較ができないところもあるのだと思います。

 

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手術結果を前向きにとらえるためにできる事

ただ実際にシロッカー手術・マクドナルド手術をやったからこそ、無事に出産を迎えられた方も大勢いらっしゃいます。

担当医に子宮頸管縫縮術を提案されたということは、前途のリスクを天秤にかけても「手術した方がいい」と判断されたからのはず。

妊娠中の流早産の危険から少しでも遠ざけるための手術なので、あと大事なのは受けると決めた場合の心構えです。

  • 手術したからと言って、早産の可能性はゼロになるわけではない。
  • 万が一のリスクもあるという事を理解する。
  • 結果に期待しすぎず。
  • 退院できたとしても、そのことに胡座をかかず。
  • 出産まで赤ちゃん優先の安静生活を心掛ける!


まーどれも、考えてみれば当たり前の事ですが。

以前はシロッカー手術・マクドナルド手術をすることで、「もう心配しなくて大丈夫!」というお墨付きが医師からもらえるものだと思っていたんですよね(^_^;)

そんな手術があるなら、世の中から流早産に困る妊婦さんはいなくなっているはずです。

担当医の判断を信じよう

もし子宮頸管無力症と診断されてしまった場合、子宮頸管が短縮する原因は誰にもわかりません。

ママにできることと言ったら、ストレスをためずに出来るだけ安静にしていることぐらいです。

また、現在すでに切迫症状が出ているということは、赤ちゃんからのサイン!

医師と共にそのサインを見逃さないように、出来ることはすべてやって「在胎週数をできるだけ伸ばすこと」がママに課せられた使命と言えます。


妊娠は無事に出産が終わるまで何があるか分からないもの。


それは現在、順調に過ごしている妊婦さんにも言えることです。

日々、そういったママや赤ちゃんの命を預かっている医師たちの診断を信じて、前向きに手術に望むことが、今の私にやれることだと思いました。


実際のシロッカー手術・マクドナルドの様子はこちら。


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まとめ

  • マクドナルド手術やシロッカー手術は全ての流早産要因に有効なわけではない
  • 手術をすることのリスクとして、機械的刺激による子宮収縮、感染の危険、破水の危険などが考えられる
  • しかし子宮頸管の短縮が既にある場合、処置することで一定の因子を排除できると考えられている


というおはなしでした。


実際に自分がその立場になって真剣に調べると、手術をしたからと言って確実に安全・安心という訳でもないという事が分かりました。

切迫流産や早産になる原因は人それぞれ。

手術を受けるかどうかも、自身がかかった病院によってケースバイケースなんですね。


私の場合は手術をする流れになりましたが、まだまだ長い妊娠生活、その結んだ「糸一本」が赤ちゃんを助けてくれる日が来るかもしれません。

何事もなく、無事に終わることを祈るばかりです。

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