卵子提供の存在は知っていたとして、実際に施術を考えたことのある方はどれ位いるでしょうか。

近年の結婚年齢の高齢化に伴い、閉経期前後でも子供を望む夫婦が増えてきました。

しかし、日本は「大多数でないもの」に対して排他的な意識の強い国です。

最近になって不妊治療は知識として浸透しつつありますが、当事者以外にとってみれば「体外受精」ですら「人工的」で「ふつう」ではない特別な治療ととらえてる方が多いのではないでしょうか。


「加齢」という誰にでも訪れることが原因で「不妊」になることに対して、社会での認知度の低く、国としての取り組みも保守的です。

オープンに語られることのない卵子提供について、どのような選択肢があるのか調べてみました。

卵子提供で出産した母子の写真です。

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卵子提供のメリット

若くて健康な卵子の提供を受けることで、高い妊娠率はもちろんのこと、高齢であっても「高い出産成功率」を望めます。

不妊治療の病院では妊娠率に注目しがちですが、重要なのは子供を授ることなので、「出産率」を知ることはとても重要です。


男性因子が原因ではない場合、特定不妊治療を行ったとしても、その妊娠率は女性の年齢が40歳なら20%、45歳以上になると5%以下といわれています。

そして出生率に至っては、女性の年齢が40歳なら約8%、45歳以上になるとわずか1%以下です。


つまり40歳を過ぎると、体外受精などで「妊娠」出来たとしても、「出産」まで至る割合が1割以下ということです。

そのため、長い年月を不妊治療にあてて、身も心もすり減っていく女性が多くなっています。


その点、卵子提供による成功率は、平均44歳の移植で妊娠率75%、出産率は57%にも上ります。送子鳥生殖医療センターで実施した卵子提供の結果)。

卵子の老化によって出生率が低くなっている状況が続いているのであれば、卵子提供を受けることによって、妊娠出産に至る可能性が格段に上がると言えます。


そのため、アメリカでは不妊治療の選択肢のひとつとして、40代以上の卵子提供による出産は珍しくなく、体外受精のうちの1割以上が卵子提供によって行われています。


また、提供された卵子を自身のお腹で育てることで、夫妻の「実子」として戸籍登録されるため、親であることが法律上で認められることになります。

代理懐胎と異なり、生まれた子どもの母が誰かという問題は起こりにくいのもメリットのひとつと言えます。

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日本における卵子提供

日本国内で卵子提供を受けるには、

  • 病気が原因で早期閉経になった場合

  • 6回以上の体外受精(採卵)で出産に至らず、その原因が卵子にある場合

  • 今後妊娠の可能性が極めて低いと医師が判断した場合

  • 遺伝性疾患の保因者または患者で、妊娠が不可能な場合


これ以外にも、夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済的状況など、あらゆる面で審査されます。


そして最大のポイントは、加齢による不妊は対象外ということです。

さらに卵子提供のドナーも、無償による親族からの提供のみに限られています。

また卵子提供者についても度重なるカウンセリングを行うため、ドナー申請して受理されてから、カウンセリング期間だけでも約1年ほどかかる形になります。

そこからドナーのホルモン治療が数カ月かけて行われ、ようやく採卵、移植に進むわけです。

実際の卵子提供状況

日本生殖補助医療標準化機関(JISART)による実績は以下の通りです。

2007年~2008年2件
2009年4件
2010年7件
2011年9件
2012年4件
2013年12件
2014年12件
2015年10件
2016年13件
2017年8件
2018年3件
2019年1件


上記を見てわかるように、国内における卵子提供は、大多数の「高齢出産による治療」の救済処置としては、全く機能していないのが実情です。

産婦人科学会のガイドラインでも「卵子提供は法が整備された場合のみ認める」とされ、国が法案を起草しない限り、実質的に
国内で実現はされないと言うことになります。

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海外における卵子提供

もし卵子提供を考えた場合、その舞台は卵子提供が合法化された国での施術、つまり海外へと移ります。

エッグドナーと着床前診断を同時に受けることも可能

日本では、卵子提供や着床前診断を自由に受けることはできません。

しかし、アメリカなどでは「着床前全染色体診断(CCS)」が一般的になっています。

この診断を受けることで、

  1. 妊娠率の上昇
  2. 流産の回避
  3. 染色体異常の回避(ダウン症など)


といったメリットがあります。

染色体異常があると判った受精卵の移植は行なわず、健康で若い卵子のみを子宮に戻すと、(子宮に問題がなければ)1回につき胚一個の移植でも、妊娠率75%という数値が安定的に出るそうです。


つまり、妊娠率を上げるために、複数の受精卵を同時に移植して「多胎妊娠」のリスクを負う必要もなく、染色体異常児の妊娠も避けられるので、健康な赤ちゃんを授かる近道となります。

また、希望すれば、ファミリーバランシングを目的とする「男女産み分け」も可能です。

治療中の女性のおよそ80%が40歳代

海外で卵子提供を希望する夫婦の多くは、自己卵子によるIVFを長年繰り返しても結果が出なかった方々になります。

以下の診断・所見・経過等があった患者様が卵子プログラム対象者となります:

加齢による卵巣機能低下
複数回にわたる自己卵子IVF不成功
排卵誘発しても卵胞が育たない
採卵できても空胞
採卵できても受精しない
受精しても胚盤胞まで育たない
着床しない
自己卵子IVFの結果初期流産を反復
早発閉経(ターナー症候群を含む)
自然閉経
卵巣摘出
高FSH値/低AMH値
子宮内膜症/卵巣嚢腫/チョコレート嚢腫など(重度)
染色体転座
脆弱X症候群

*尚、普段の生理の有無は不問です。



このように日本での自己卵子治療に限界を感じた場合、海外の卵子提供へと進む選択肢もあります。

海外でエッグドナーを探すなら

海外で行うときは、まず卵子提供の専門エージェントに依頼するのが一般的です。

日本人の卵子ドナーも登録されていて、写真などの情報を見ながら自分で選択することも可能です。

また、移植手術で海外に滞在することになった場合も、病院での通訳や送迎なども現地のスタッフが担当してくれます。

海外での費用の比較

以下は、セントマザー産婦人科医院の「卵子提供」より抜粋しました。

台湾タイアメリカ
法整備
運営国営私営私営
出自を知る権利認めない認めない一部認める
ドナーの条件(1)
匿名性
匿名匿名匿名
ドナーの条件(2)
報酬
有償有償有償
ドナーの条件(3)
年齢
20~40歳未満20~30歳20~30歳
ドナーの選択方法病院側で、希望に合うよう選択パンフレットで選択パンフレットで選択
1回の治療費用100~200万円200~300万円500万円以上


ヨーロッパでも卵子提供はさかんですが、日本人に対応している大手の専門エージェントが少ないようです。

費用面に関しては国営で行っている台湾が安くなっていますね。(費用には渡航費・滞在費は含まれていません)

詳しい条件面については、以下のサイトで分かりやすくまとめてあったので、興味のある方はどうぞ!

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卵子提供のデメリット

高齢妊娠のリスクが高まる

前途したとおり、高齢であっても若くて健康な卵子を得ることができれば妊娠可能です。

しかし高齢出産であることには変わらないので、妊娠高血圧症候群や産科出血など、高齢による母体合併症が増加する危険があります。


妊娠高血圧症候群
何らかの原因で妊娠中に高血圧となる。

発症頻度は、40歳以上で35歳未満の2倍。

妊娠糖尿病
妊娠中に初めて見つかった糖の代謝異常。

発症頻度は、35歳以上で20~24歳の8倍、30~34歳の2倍。


低体重児
卵子提供で生まれた事例100件のうち、生まれた子どもの体重が2500g未満の低出生体重児が44件あった。(朝日新聞デジタル 2013



このように高齢になればなるほど、「胎児を宿した状態で健康を保つ力」が弱まります。

卵子提供が許可されるようになれば、当然のことながらより高齢妊娠が可能となり、妊娠合併症の増加という新たな問題も起こる可能性が考えられます。

日本でのエッグドナーの問題

日本では現在、提供者には対価が支払われない完全ボランティアによるものになっています。

採卵では排卵誘発剤を注射する必要があり、卵巣が腫れるなど副作用が起きる可能性や、将来的な身体への負担も未知数です。

それでもドナー希望者の問い合わせは多くあったそうですが、日本の卵子提供登録支援団体(OD─NET)によると現在までの246人の応募で条件をクリアしたのは30人ほどだったそうです。(現在は登録を受け付けていません


そして生まれた子どもが15歳になったときに、(本人の希望があれば)卵子提供者の住所・名前・連絡先を伝えることもあるという条件
を考慮すれば、医療機関において匿名の第三者のドナーを安定的に確保することは難しいことも考えられます。

そのため、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)で治療を受けるには、患者自らが血縁者や友人からの卵子提供者を探す決まりとなっています。

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海外でのエッグドナーの問題

逆に海外では、指名の多さなどの「人気」によって、卵子提供者に支払われる謝礼金の金額が異なってきます。

また、海外の卵子提供に登録されている日本人のドナーの多くは、ネットなどで応募し、審査の後に「エッグドナー」として渡航先で採卵することになります。

その条件は、

  •  20歳~30歳までの健康な女性
  • 喫煙していない(喫煙経験者は登録時に禁煙していること)
  • 性病を含む感染症・遺伝疾患を持たない
  • 薬物・アルコール等の依存症でない
  • 精神安定剤の服用をしていない
  • 現地での通院が可能(10日前後)


といったもので、渡航費や宿泊費とは別に50~100万円の謝礼金を受け取る「副業」として募集されています。(一年で最大2回まで)


しかし結局はどのドナーとマッチングするか、そのドナーの年齢、卵子の採取法、生まれてからの健康状態などに応じて、妊娠率や出産率が異なるという事実は変わりません。

そのため、海外のドナーの場合はもっと顕著に、ドナーの登録自体に厳しい項目を掲げている会社も多いそうです。


美しい見た目や年齢だけではなく、精神的な評価や、学力も重視します。

有名大学(ハーバード、プリンストン、イェールなど)に通う若い女性の卵子には対価として、3.5万ドルを提示する広告まであるとか。

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卵子提供における倫理観

意図的に子供の特徴を選択し、着床前診断などで排除する方法から、卵子提供は「デザイナーベビー」と呼ばれ、時に批判されることもあります。

しかし、多くの卵子提供の現場では、ドナーの美貌を写真で確認し、IQや学歴など様々なスコアを見比べながら「チョイス」しています。

ドナーが良ければ安泰?

希望通りの「優良な卵子」を選んだとしても、出産や子育てに絶対はありません。

自然妊娠でもいえることですが、実際に生まれた際に健康でも、将来的にどうなるかは誰も分かりません。

遺伝子背景のわからない卵子を使うことは、子どもの発育や病気など、予期しない問題が起きる可能性があるということ。

そして、もし医学的障害があった場合や、子供が出自を知りたい場合も、現在の日本には法的な枠組みが何もないのが現実です。




また、子どもが大きくなったときに、母親と生物学的なつながりがないことを知った場合、それが子どもの心身にどのような影響を及ぼすか、夫婦でどう向き合うか、よく話し合っておく必要があります。

子どもは親を選べません。

自らの意思とは関係のないところで、その出生の方法が決まってしまう子どもの精神的な安定は、十分に保護されるべきです。

生まれてくる子どもの「人間的尊厳性」を守るためにも、国としての早急な取り組みが不可欠と言えます。

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出産後の精神的なケア

「第三者の卵子」よる出産を選択した場合に、子どもを産むことが目的になってしまうと、あとで辛い思いをする可能性があります。

そもそも初めて子供を授かった際には、妊娠中はもちろん、産後や子育て中におけるホルモンの影響はすさまじいものがあります。

熱望して生まれた子供であっても、他人からの配慮のない言葉や、家族からの何気ない一言で、子育て中に不安定な気持ちになることが多くあります。


  • 両親や親戚、出産施設、友人等の周囲の人、子どもに卵子提供の出生であることを開かすか否か
  • 「パパに似てるね」「ママに似てないね」など、外見の指摘
  • 子どもの出生時に親の年齢が高いことの責任、疎外感、罪悪感など
  • 母子間で些細なトラブルがあった時に「血のつながりがない」ことを理由にする



実際に遺伝的なつながりがあったとしても、子育て中に「どうしたらいいか分からない…」「もう、やっていけないかも…」と不安になることはたくさんあります。

その時に、「自分の遺伝子を受け継いでいたら子どもへの気持ちが違っていたのか」など、子どもが卵子提供で生まれたことに由来する感情の揺さぶりを経験するかもしれません。


子どもを「親」と重ねるのではなく、「個」として受け止め、親としての愛情が揺らぐことなく、後悔することなく、自分たち「夫婦」の子どもであると強く思えるか。

そのためにも、場合によってはカウンセリングを受けたり、パートナーと協力して乗り越えていく必要があります。

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卵子提供でも産みの親の遺伝子が影響する?

論文を裏付ける研究は、20人の不妊治療歴のある女性を対象として、スペインで最先端の不妊治療クリニックである「IVI Valencia」病院で行なわれた。

そして研究が導き出した結論は、子宮内の羊水は母体の遺伝子情報を含んでおり、胎児は羊水からDNAを吸収しているということだ。

つまり羊水を通じて母体から胎児への遺伝子の転移が行なわれるのだ。

「これまで、ドナー卵子による出産は、母親が自分の遺伝子情報を我が子に伝えられないという悲劇を甘んじて受け入れることが前提でした。

しかし今回の研究は、他人の卵子で妊娠したとしても、幾分かのDNAがお腹を痛めた子どもに伝わる原理が発見されたのです。

そしてこの発見は、胎児の発育の詳細解明に大きな影響を及ぼすと思われます」

 

医学誌「Development」に2015年に掲載された論文ですが、その後の研究報告が見つからなかったので、どこまで医学界で評価されているか分かりませんが、「卵子提供であっても母体の遺伝子を引き継ぐ」という研究結果がありました。

この研究者によると、以前からドナー卵子によって生まれた子どもが、産みの母親に似ているという例を何度も見聞きしていたそうです。


確かに、妊娠中のアルコールや喫煙は胎児に悪影響を与えますし、妊婦の摂取する葉酸やビタミン類なども胎児の成長に必要なものです。

そして、妊娠中の体調や妊婦の精神安定が、胎児に与える影響も指摘されています。



つまり他人の卵子であっても、妊娠中胎盤とへその緒を通して、血液で栄養のやり取りをし、心身ともに一心同体となり、大きく成長させるのは「産みの母親」で間違いはないということ。

卵子はお腹の中で初めて「赤ちゃん」となるのです。

遺伝子情報だけが全てではない

遺伝子においての「不確実性」は、すべての人に当てはまります。

つまり自然妊娠であっても、赤ちゃんが親に似ているかどうかは様々です。

そっくりであったり、全く似てなかったり、上手い具合に少しずつ両親の特徴を受け継いでいる場合もあります。

実際、我が家の二卵性双生児の見た目も、お兄ちゃんは父親に激似で、弟くんは私の父に若干似てる感じで、2人とも私にはあまり似ていません(^^;


人間の持つ全染色体には、6〜10万個の遺伝子があるとされ、全ての遺伝子の組み合わせの種類は、一組の夫婦で64兆の異なる子どもを作れる計算になります。


また、人間の遺伝子の情報量を12.5MB(約1億ビット)と見積もる説があるそうですが、国立国会図書館が収集した国内のサイトだけでもデータ数は約36億ファイル、データ容量は632.9TBに及ぶそうです。(2015年インターネット資料収集保存事業調べ

こうしたネット資料も含めて、生まれてから見聞きするデータや本、自然や、環境、歴史、そういった五感で感じる全てのものから得られる情報量は、生まれつきDNAから得たものよりも何十万倍も大きいということ。


そう考えたら生まれよりも、一緒に過ごしていく時間の方がずっと大事だと思いませんか?

実際、どんなに優秀な遺伝子を持って生まれたとしても、周囲の励ましや導き、出会い、そして本人の努力なくしては才能は花開きません。


「遺伝子」は全てにおいて「一因子」でしかない。

そう思って、出生の事情にかかわらず、子どもにとって最適な
環境を整え、夫婦で愛情をもって育てていくのが親の務めと言えますね^^


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まとめ

  • 日本では高齢妊娠における卵子提供は行っておらず、希望する場合は海外で施術を受ける必要がある
  • その場合は専門の信頼のおける卵子提供コーディネーターを探す必要がある
  • 卵子提供は様々な問題をはらんでいるので、選択するときはかなりの覚悟が必要です


というおはなしでした。


卵子提供に関しては、世界でも賛否両論があるのが実情です。

日本の場合は、特に否定的な意見が根強いイメージがあります。

もちろん子供をもつことだけが幸せではありませんし、様々な選択肢があっていいと思います。


ただ現在もこうして晩婚化が進む中、もし子供が欲しいと希望した時に、35歳以上の高齢を理由にあきらめなければいけない社会では、今後も少子化は免れませんよね。

いまだ親子関係を含めた法整備は手つかずのままで、卵子提供にあたっては該当団体による再三の訴えもかなっていない状況です。


夫婦の希望と将来の選択肢が一致すれば、海外での卵子提供も一つの道であると言えるかもしれません。

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