双子妊娠で一番懸念されるのは、早産です。
しかし、出産時期だけでなく、出生体重も重要であることはご存知でしょうか?
私もようやく妊娠22wを迎えて、管理入院から退院後初めての妊婦健診を無事に終えられました。
しかし現段階で、双子の体重は500gちょっとで、まだまだ安心できる大きさまで成長はしていません。
そこで今回は特に、低出生体重児にフォーカスを当て、低体重で生まれた場合のリスク、低体重出生児の分類とその原因についてまとめました。
目次
低体重で産まれるリスク
生後28日までの間の新生児期の死亡率は5.0%以下まで低下し、現在の日本では1000gにとどかなくても、ほぼ救命できる時代になっています。
そこで気になるのが、低体重で出生した場合のリスクになります。
低出生体重児の成長
低出生体重児は、平均体重で産まれた赤ちゃんよりも小さいままで成長していきます。
出生体重によりますが、遅くても3歳ごろには身長や体重などの成長が追いつき、6歳ごろまでには身体機能の発達も追いつくといわれています。
これは低体重児にかかわらず、早産の赤ちゃんは修正月齢でみながら成長や発達の様子を見守っていく形になります。
低出生体重児のリスクとは
乳児期
- 呼吸器系疾患
- 循環器系疾患
- 中枢神経系疾患
- 血液疾患
- 脳性麻痺
小児期
- 学習障害
- 発育障害
- 精神遅滞
- 聴力障害
- 視力障碍
- てんかん
- 喘息
- 注意欠陥多動性障害
小学校入学以後の問題として、一般的な知能のレベルは正常であるものの計算だけができなかったり、字を書くことだけができないいわゆる学習障害の頻度が高くなると言われていますが、詳細については未だ不明であります。
今回の超低出生体重児の就学前の全国調査においても養護学校や障害児学級に就学予定の児の比率は8.6%あり、就学猶予の児を加えると約10%の児が普通学級への入学ができず、特殊な教育を必要とすると考えられます。
諸外国の報告を見ても米国のHack らは出生体重750g未満の児の45%、750から1500gの児の25%が特殊教育を受けていると言っています。
またオランダのHilleらの報告でも32週未満の児の19%が9歳で特殊教育を受けています。
低体重は成人後にも悪影響がある
「成人病胎児期発症起源説」(FOAD:Fetal Origins of Adult Disease)というのを聞いたことはありますか?
成人病は二段階のリスクによって発症するといった考え方になります。
- 受精時(胎芽)・胎児期(胎仔)・乳児期に、低栄養・過栄養にさらされると、成人病の素になる因子がDNA上に形成される。
- その後、成人となった時にマイナスの生活習慣が加わることで、成人病が発症する。
つまり、妊娠中や乳幼児期の栄養不足による低体重によって、正常児と比べて将来的に病気になる可能性が高まるということ。
次世代の健康は胎児期に大部分が決まるという、ある意味こわい説です。
言ってみれば、妊娠中の母親の栄養とストレスなど、女性の健康いかんで、将来的な社会全体の「活動度」「生産性」「知的生産性」「運動能力」までがが決まっていくことを意味します。
成人後
- 心臓病
- 糖尿病
- 心血管障害
- 虚血性冠動脈疾患
- 高血圧
- 脳梗塞
- 脂質異常症
妊娠時に飢餓やダイエットで低栄養にさらされると、胎児や、時によっては孫の代まで様々な代謝異常が起こる事が知られている。(中略)
妊娠時低タンパク食で育てられた妊娠マウスから生まれた子供は大人になってもインシュリンの産生が低く、グルコース負荷にうまく対応できない。(中略)
この異常の分子原因を調べて行くと、インシュリン遺伝子自体や膵臓β細胞分化・維持に必須の転写因子Pdxの発現が低下している。
このように、赤ちゃんの低体重での出産は、将来の人生を左右するほどのリスクを含んでいるものと言えます。
妊娠中の無理なダイエットがいかに危険かが分かりますね。
出生時の体重について
その後も順調に育っているそうで、世界で一番小さく産まれた子になります。
日本は低出生体重児の割合が多い
全体の出生数に占める低出生体重児の割合は、WHO世界子供白書の統計表によると、日本は10%(2011年〜2016年)と報告されており、その後も9〜10%で推移しています。
未熟児とは
「未熟児」かどうかは、体重のほかにママのお腹のなかにいた期間(在胎週数)も関係してきます。
本来、赤ちゃんはママのお腹の中に40週前後いることで、身体の準備が整うようになっています。
在胎37週未満で産まれてきた赤ちゃんは、早産児と呼ばれ、正期産児と比べると「身体の機能が未熟」で「十分に成熟していない」未熟児である可能性が考えられます。
低出生体重児の多くは早産児ですが、正期産児なのに小さく生まれる赤ちゃんも増えていると言います。
- 出産体重は十分なのに、身体の機能が未熟である
- 妊娠期間は十分なのに、体重が少なく成熟しきれていない
逆に、小さく生まれても身体の機能に問題がない場合も考えられます。
低出生体重児とは
低出生体重児とは、WHOの定義で「出生体重が2500g未満の赤ちゃん」と定められています。
赤ちゃんの体重は、妊娠期間に対する発育状況の目安となります。
低出生体重児
2500g未満で産まれた赤ちゃん
極低出生体重児
1500g未満で産まれた赤ちゃん
超低出生体重児
1000g未満で産まれた赤ちゃん
近年の日本では、こうした2500g以下の低体重児が10人に 1人くらいの割合で生まれているということになります。
なぜ日本では低体重出生時が増加しているのでしょうか。
赤ちゃんが低体重で生まれる原因
大きく分けると、母体因子、胎盤・臍帯因子、胎児因子の3つにわけられます。
その中でも特に要因が大きいのは「母体が感じるストレス」だとする、『思考のすごい力』のブルース・リプトン博士の説を取り上げます。
低体重児の原因① ママの感じるストレス
赤ちゃんはママの血液から酸素や栄養をもうだけではなく、ママが慢性的にストレスを感じていると、コルチゾールなどのストレスホルモンも胎盤を通して胎児まで届いてしまいます。
- 母体が強いストレスを感じる
- 胎児を発達させる「成長・増殖状態」から「防衛・闘争状態」へとスイッチを切り替わる
- 生命維持に必要な部分(心臓・腕・足・脳の後方)へ優先的に栄養が供給される
- 内臓への血液量が減少し、脳の前方部分の機能が抑制され、子宮への栄養が後回しにされる
- 腎臓のろ過機能を抑制し、身体の塩分バランスが崩れる(血圧に影響が出る)
このように、ママが慢性的にストレスを感じていると、ストレスホルモン(コルチゾール)の働きで赤ちゃんへの血液分配を変化させ、生理的な機能までも変えてしまいます。
赤ちゃんの組織や器官の正常な発達は、受け取る血液の量と、身体のもつ本来の機能をどれくらい有するかによって変わっていきます。
つまり、過剰なストレスホルモン(コルチゾル)が子宮内の赤ちゃんの成長を抑制してしまい、その結果として発達不全が起こり、低出生体重児が生まれる大きな要因になるというわけです。
妊娠中のストレスはパートナーにかかっている
赤ちゃんが生まれる前の環境、すなわち妊娠中のママの心身の状態が、健康的な赤ちゃんを出産するために大切になります。
子どもへの「遺伝的要素」は、全ての結果ではない事が現在の医学的研究で証明されています。
例えば、知能指数でみると遺伝的関与は34%のみ。
つまり「遺伝的要素」はごく一部に過ぎず、残りは赤ちゃんの生まれる前からの「環境的要素」がおおいに関わってくるということです。
もともとママは、出産への不安・プレッシャーで多大なストレスをかかえています。
妊娠による身体の変化やマイナートラブルに悩まされ、今まで普通にできていたことができなくなる辛さ、社会的な風当りの変化も肌で感じ、心細くなっています。
不安定な妊娠中に重要なのがパートナーの存在
赤ちゃんの健康や、知的水準を含めた精神的発達を決定づける要因に「理解者の存在」があげられます。
『思考のすごい力』のブルース・リプトン博士も「お父さんの役割の大切さ」を科学的に証明しています。
「自分を受け入れて安心させてくれる」パートナーの行動や言動が、ママの精神的な安定につながり、そしてそのことが赤ちゃんの健やかな成長・発達に直結するのです。
旦那さんからすると何気ない行動でも、妊婦の気持ちを考えない無神経な態度や一言で、ママのストレスになってしまう場合もあります。
つまり、旦那さんが妊娠中の奥さんを「いかにリラックスさせて、心穏やかにさせてあげられるか」が大きな意味を持つわけですね。
自分の不用意な一言や行動が、赤ちゃんを危険にさらしているかも。。。と思えば、奥さんを労わる言葉も自然とかけられるのではないでしょうか^^
低体重児の原因② 母体因子
- 年齢(若年妊娠、高齢妊娠)
- 低栄養(ダイエットや食事の乱れ)
- 妊娠高血圧症候群
- 喫煙歴
- 飲酒歴
- 歯周病
歯周病が原因とは意外に思われるかもしれませんが、実は喫煙や飲酒よりも早産児や低出生体重児になるリスクが高いと言われています。
ちなみに歯周病については、以下の記事でまとめてあります。
妊娠中から母親の自覚を持とう
妊娠中の体重管理が厳しい病院も多く、過度に気にして体重が増えないように食事制限をするママがいるそうです。
あるいは出産後の肥満を嫌って、妊娠中にダイエットをするママもいます。
そうして妊娠中に適切な食事や栄養を摂取しないでいると、赤ちゃんが栄養不足で発育が遅れ、結果的に低出生体重児になってしまう可能性が高くなります。
世界的にも有名なコホート研究の一つにオランダ飢餓研究(Dutch Famine Study: http://www.hongerwinter.nl/index.php?id=31&language=EN)がある。(中略)
この研究から、統合失調症の罹患率と、肥満、糖尿を含む様々な代謝疾患の頻度が、胎生期の飢餓により上昇することがすでに報告されている。
(中略)妊娠初期に飢餓を経験した子供では、発生時に重要な働きをする遺伝子にメチル化異常がおこり、それが60年以上維持され、様々な体質変化や病気の原因になるという結果だ。
また、現在でもダイエットなどで一種の飢餓状態を経験する胎児は多い。この子供達を検査するときの指標として大きな貢献が期待できる。
また妊娠中の喫煙・飲酒も大変危険です。
喫煙や飲酒の反応で母体の血管が収縮すると、赤ちゃんに十分な血液が送られなくなります。
アルコールは胎盤を通じて赤ちゃんへと移行し、肝臓機能が発達していない赤ちゃんの発達不全につながります。
低体重児の原因③ 胎盤・臍帯因子、胎児因子
- 胎盤のサイズ
- 臍帯の付着位置の異常
- 多胎妊娠
- 胎児の染色体異常
- 先天性感染症
- 子宮内発育不全
また早産児の場合は、在胎期間相当の発育にあった場合でも、低出生体重児となる可能性が高くなります。
私も双子妊娠で、臍帯付着異常の診断を受けています。
詳しくは以下の記事で。
妊娠中のストレスと健康が低体重児の要因!
このように、妊娠期間に比べて体重が少ない赤ちゃんは、赤ちゃん自身になんらかの問題を抱えている場合や、ママからの酸素や栄養が少なかったり、過剰なストレスのせいで小さく生まれる場合があります。
また、赤ちゃんの為に健康的なマタニティライフを心がけていたのにもかかわらず、予期せぬ切迫症状で流産や早産の診断を受け、低出生体重児の危険にさらされてしまうこともあります。
そこで大事なのがパートナーの支えというわけです。
妊娠中はもちろん、出産後が本番です。
赤ちゃんとママが「妊娠して、生まれてきて、本当に良かった」と思える人生になるかどうかは、パパしだいとも言えますね( *´艸`)
ちなみに上記で紹介した『思考のすごい力』のブルース・リプトン博士の著書がこちら。
ポジティブ・シンキングがDNAまで変える?信じることの生物学!
ここに量子物理学との融合がある。
すべてはエネルギーとの調和によって生かされもし殺されもする。
特に子供への潜在意識への親の影響はとても大事。
胎児の頃から影響する。
潜在意識内のプログラムを変える方法として、PSYCH-Kサイケーという方法があるとのこと。
私たちの「肯定的思考」が、あらゆる意識、物質、奇跡の力を解き放つ!
こう書くと自己啓発本みたいですが(笑)
科学的・論理的な説明で、細胞生物学者さんが書いたものになるので、思わず納得。
やさしい語り口なので、理系じゃなくても楽しめますよ^^
分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の補償制度
妊婦検診の後に、助産師さんから「産科医療補償制度」の案内がありました。
出産時に発生した重度脳性麻痺の経済的負担と、原因分析を補償する制度のことです。
産科医療補償制度の対象
- 在胎週数33週以上かつ出生体重2,000g以上、または在胎週数28週以上で低酸素状況を示す所定の要件を満たして出生したこと
(在胎週数の週数は、妊娠週数の週数と同じ)
- 先天性や新生児期等の要因によらない脳性麻痺であること
(この他、生後6ヵ月未満で死亡した場合は、補償対象外)
- 身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺であること
(補償申請の時点での手帳の取得の有無は、審査の結果には影響無し)
産科医療補償制度の目的
産科医療補償制度は、より安心して産科医療を受けられるようにするための制度です。
- 分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児とその家族の経済的負担を補償する
- 脳性麻痺発症の原因分析を行い、再発防止のための情報を提供する
- 紛争の防止・早期解決
- 産科医療の質の向上、産科医不足の改善、産科医療提供体制の確保
- この病院では分娩費に含まれているので、追加でお金はかかることはないそう。
- 説明を受けて、同意のサインを書いて提出するだけで終了しました。
- 考えたくはありませんが、このような制度があると出産時のトラブルがあった時は安心ですね。
- もし出産前にこのような説明がなかった場合は、かかりつけの病院に問い合わせてみてください!
まとめ
- 日本は低出生体重児の救命率も高いが、出産率に対する割合も10人にひとりと高くなっている
- 低出生体重児の増加には、妊娠中の社会的ストレスや、体重管理の厳しさなどが影響している
- できるだけストレスをためずに心身ともに健康的にいることが、低出産体重児にならない秘訣である
というおはなしでした。
不妊治療による双子や3つ子の赤ちゃんが増えたことや、新生児医療の進歩で超低出生体重児の赤ちゃんも救出できるようになったことも、日本の低出産体重児の割合を増やしている要因といえます。
低出生体重児のなかでも、男の子の生存率は女の子よりも低くなっているそうです。
(男の子のほうが肺の成熟が遅いためといわれている)
双子男子で高齢出産で臍帯付着異常もある私は、双子の出生体重が心配で仕方がありません。
すでに切迫の診断を受けているので、体重だけでなく在胎週数も大事となってはまさに綱渡り状態です。
自宅安静も含め、ストレスをためない事・食事管理に気をつける事。
できるところを頑張っていきたいと思います!