9月になりました。
治療を始めて早いもので半年。
途中で総合病院の通院やハネムーンクルーズなどで1.5カ月ほどお休みしているので、実質5カ月弱くらいです。
初めての移植から1週間が経ち、この日は胚移植の結果判定になります。
妊娠検査の結果を聞くときの診察の様子と、妊娠判定のホルモン基準値(HCG・ヒト絨毛性ゴナドトロピン)についてまとめました。
また、不妊治療を続ける上での「つらい記憶」との向き合い方について、心理学の視点から考察します。
目次
体外受精の妊娠判定の結果と費用
全体で26回めになります。
平均して1週間に一回は来院してた計算。
病院嫌いの私が、こんなに通院したのは初めてです(^_^;)
今回もオール自費で、5,080円。
血液検査で妊娠判定を行いました
尿検査だと10日め以降で判定するそうですが、血液検査だと最短でより正確に結果がわかるとのことだったので、今回は血液検査をすることに。
まず採血をして、結果が出るまで1時間ほど待ちます。
外出しても良いとのことですが、最寄りの複合施設まで片道10分くらいかかることを考えると、時間的にそわそわしちゃうので病院で待機。
この1週間、普段通りで良いということだったので、安静にすることもなく、本当に普段通りに過ごしていました(-_-;)
あんまり大げさにして、期待してダメだった時のダメージを考えて、出来るだけ考えないようにしていたというのが正直なところ。
なので、この日が移植後で、1番ドキドキもやもやした時間だったと思います。

いや、もしかしたら。。。
今まで以上に長く感じた待ち時間(>_<)
ようやく呼ばれて診察室に向かうと、先生はいつものポーカーフェイスで、表情ではわかりません。

ピラッとホルモン数値が書かれた紙を出され、そこには、
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン 0.5 mlU/ml 未満
と書かれていました。
β–HCGとは
HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とは、妊娠が成立し、受精卵が着床して発育すると、その絨毛組織から大量に分泌される糖タンパク質。
そして妊娠初期の卵巣黄体を刺激して、プロゲステロン産生を高める妊娠維持に重要なホルモンです。
β–HCGの基準値
2w | 0.2mIU/ml |
3w | 20~50mIU/ml |
4w | 50~200mIU/ml |
5w | 200~1000mIU/ml |
6w | 1000~6400mIU/ml |
7w | 4000~12800mIU/ml |
8w | 4000~256000mIU/ml |
9~11w | 8000~256000mIU/ml |
11w〜 | 12800~64000mIU/ml |
尿中や血中に現れて、妊娠週数が進むにつれて濃度が濃くなっていきます。
上記の基準値を見てわかるとおり、ある一定の週数(妊娠10w前後)をピークに減少していくもので、市販の妊娠検査薬にも使われているものになります。
初めての胚移植は着床せず

今回は残念ですが、着床まで至らなかったようですね。
先生は表情も変えずに、淡々と結果を伝えます。
私は、そうですか〜。。。としか答えられず(._.)
心の準備をしていたので、取り乱すような衝撃はありませんでしたが、やっぱりそう簡単にはいかないかぁ、という何とも言えない複雑な感じ。
少しの間をおいて、先生が次の移植についてどうするか聞いてきました。
毎度のことながら何も考えていなかったので、続けてやる場合と、お休みを入れる場合と、どちらが良いのか質問してみました。

ただ引き続きの投薬や通院になると、精神的・肉体的な負担が大きいと思うので、辛いようでしたら、間を空けても良いと思いますよ。
とのこと。
ここで間を空けてしまった方が辛くなりそうだったので、少しでも確率が上がるのならと連続での治療を即決しました(`・ω・´)
リセットすることになって思ったこと
帰宅してから主人には、「今回はダメだったけど、このまま連続で続けることになったよ」と至極あっさりと報告しました。
あまり深く考えて夫婦で向き合うと、果てしなく落ち込んでしまいそうだったので、主人に詳しく話すことで感情が揺さぶられることが怖くて避けてしまったんですね。
私の悪い癖でもあり、処世術でもあり(~_~;)
仕事をしていたので忙しくすることで、泣き明かすようなことはなかったですが、時々すごい無気力になったり、急に何もかもが嫌になったり、無性にイライラすることがありました。
友達や親にも話していなかったので、相談するには主人しかおらず。
あんまり愚痴や泣き言ばかりになってしまうのも申し訳ないな、と思いつつ、小出しに聞いてもらっていました。
そうして身体的にも精神的にも耐えて続けるしかないのが、ゴールの分からない・答えの出ない不妊治療の一番キツイところだと思います。
不妊治療を続けるうえで、傷ついた気持ち・つらい気持ちとどう向き合っていけばいいのでしょうか。
不妊治療で「つらかった」気持ちの行方
妊娠が確定し、総合病院の母子胎児科へ転院してから、しばらくは通っていたIVFクリニック周辺に行く気が起きませんでした。
妊娠中に凍結胚の期間延長の費用を払いに行く機会があったのですが、どうしても気が進まなくて主人にお願いしたくらい(´・_・`)
前述のように不妊治療中は、多くを語らずただ目の前の治療だけを考えて、「本当は感じていた気持ち」を見ないようにして通院していました。
治療が終わってもクリニックに行くことで、心のどこかにあった不安や不満、嫌な思いや辛い思いを思い起こしてしまうのを無意識に拒否していたせいかもしれません。
嫌な事はなるべく早く忘れたい
誰でもそう思うし、できれば無かったことにしたいですよね。
私もしょっちゅう、
こんなのたいした事ない。
死にはしないし、もう気にしない!
と感情を振り払うように、気持ちを誤魔化してしまう事が多いです。
でも実はこうして「無かったこと」にした感情は、忘れたと思い込むことで、意識しなくてもいい心の領域 = 無意識に押しやっているだけなのです。
ちなみに心理学では、これを「否認」「抑圧」などと言います。
無意識に押しやった感情は、嫌な気持ちが強ければ強いほど、ふとした瞬間に意識にのぼってきて後から悩ませます。
「あ”〜〜〜! もうとっくに忘れてたはずなのに!」
と、過去のつらい気持ちを、繰り返し脳内再生して追体験してしまったり。。。
こうした大小あるツライ記憶を、何度も思い出してしまうのは、無意識下からの癒されたいというサインなんだそうです。
否認や抑圧といった「考え方の癖」の原因は子供時代にあるかも
インナーチャイルドとは、感情・本音・本来の自分など、深層心理に隠れた「本当の気持ち」を投影したもの。
辛い気持ちに蓋をする癖のある方は一読をお勧めします。

そんな人は是非読んで下さい。
子育て中や、これから子供を産み育てる方も是非読んで下さい。
子供への声かけや体験が、大人になって様々な影響をもたらす事がわかります。
つらい気持ちを乗り越えるためには
傷つき体験を本当の意味で「消化」するためには、まずは自分が傷ついたことを受け止めて認めることで初めて「切り離す」ことが出来るようになるそうです。
他の人が平気に乗り越えていくように見える些細なことでも、自分がつらかったら「ツライ!」 と大きな声で言って良いのです。
自分は傷ついていること、辛いという気持ち、泣きたい感情を誰かにぶつけること。
そうして悲しみや寂しさ、怒りといった感情を前面に出すことで、溜め込んだ本当の気持ちを解放していくことが第一ステップになります。
確かに、不妊治療中こらえきれずに愚痴や「ツライ」とこぼしたときに、「Lunaiばかりごめんね」「大変だね」「つらいよね」と言った主人の一言で救われることが多かったです。
そうして気持ちを伝えることで、自分はひとりじゃないと思えたり、主人の願いを叶えたいといった初心を再確認できたり、不妊治療を続ける原動力になっていたと思います。
自分の気持ちに鈍感になることで身を守る
では果たしてすべての気持ちを吐き出せていたか?
というと、答えはNO。
主人が仕事で忙しくしていたこともありますが、どこか「私が耐えればいいだけの話だ」と思っていたところがあります。
私は八方美人で、人に良い顔をして自分のことは我慢する癖が身についてて、弱っている姿を人に見せるのが苦手なので、感じたことをそのままに話すことが素直にできません。
大丈夫、たいしたことじゃない。
そう言い聞かせて、やり過ごすことで「乗り越えたつもり」になってる事が多いです。
でも結局キャパオーバーになって、痛いとか辛いとかを通り越して「なんで私ばっかり!」という怒りを感じたり(;´∀`)
全然処理しきれてないパターンです。。。
そのせいで、IVFクリニックに近寄りたくない! と思うようになってしまったのかもしれません。
無意識に否認や抑圧をしているか見分ける質問
- どういった人生を送りたい?
- 心の底から嬉しいと感じる瞬間は?
- 今すごくやりたい事って?
皆さんは、それぞれの質問にすぐに答えられましたか?
パッと思いつかず、「うーん、なんだろうな〜。。。」
と考え込んでしまう方は、「否認」「抑圧」の癖がついてしまっているのかもしれません。
「否認」「抑圧」とはどんな状態?
身を守るためにツライ記憶を「無かったこと」にして来ていたせいで、生きていても幸福感や多幸感が十分に得られていないのかもしれません。
でもそれってなんだか寂しくないでしょうか。。。
傷付いた自分を認めず、「大したことない」と軽んじて向き合わない状態、そのことこそが心の傷を長引かせ、いつまでも引きずってしまう原因になっている!
という事に、気づく事がまず必要なのだそうです。
心に浮かぶネガティヴな気持ちを十分に吐き出すことができれば、たとえ過去や現実は変わらなくても、つらい気持ちや胸のつかえが少しずつ和らぎ、薄れていってくれるそうです。
アドラー心理学に学ぶ「つらい記憶」との向き合い方
ベストセラー「嫌われる勇気」で有名なアドラー心理学でも言われていますが、物事は多面的な見方ができます。
アドラー心理学とは
アドラー心理学の基本的な考え方(理論)の概略は、以下のとおりです。
1.人間の行動には目的がある(目的論)
2.人間を分割できない全体の立場から捉えなければならない(全体論)
3.人間は、自分流の主観的な意味づけを通して物事を把握する(認知論)
4.人間のあらゆる行動は 、対人関係である(対人関係論)
5.人間は、自分の行動を自分で決められる(自己決定性)
6.人間の生き方には、その人特有のスタイルがある(ライフ・スタイル)
ここでは⑥の「自己決定性」について、詳しく見ていきます。
人間は、自分の行動を自分で決められる
- 如何なることが起ころうとも、それをどう考え、どう解釈するかによって人生が決まる。
- 素晴らしい人生を歩めるかは、その人の考え方と行動次第。
- 全く同じできごとが起こったとしても、人によって解釈が異なり、その解釈が前向きか後ろ向きかで、その後の行動が変わり、最終的な結果も変わる。
つまり傷つき体験が、「考え方ひとつ」その人次第で成長の糧や笑い話に昇華することも出来るということ。
過去の体験や、現在の取り巻く環境に左右されるかどうかは自分次第。
人はどのような状況であろうが行動を「選択」することができ、運命を切り開く力を持って未来を素晴らしいものにできるのです。
人のせいにしないこと
また、アドラーは自分の課題や他人の課題に「介入しないこと」が必要だと言います。
- 他人の課題と自分の課題を分離し、お互いに介入せず「課題の分離」をすること
- 今起こっている問題を人のせいにせずに、自分が「選択した結果」として逃げずに向き合うこと
- 他人を変えることはできない(他人の問題は解決できない)ので、まず自分が変わること
- 変わることに不安にならずに、幸せになる勇気をもつこと
そうすることで人生は好転していく、としています。
つまり、「自分の辛さや苦しさを誰もわかってくれない」と怒るのではなくて、まず自分がその気持ちを伝えることで、周囲も変わることがある、ということです。
全ては自分次第。
でもどうしても消せない記憶がある場合は、記憶の上書きをする方法もあるそうです。
つらい記憶を塗り替える方法
人間は過去の記憶を「客観的(自分の姿が見える)」「主観的(自分の目線で進む、自分の姿が見えない)」の2種類のパターンで思い出します。
主観的な思い出し方をすると、脳は現在進行形の出来事だと錯覚し、過去の出来事と認識できません。
するといつまで経ってもツライ記憶の再体験を繰り返し、時を重ねるほど心的外傷は強化されてしまいます。
ツライ記憶を上書きする6つのステップ
もし主観的につらい記憶を思い出してしまったら、まず映画を観るように自分を「登場人物」として想像しましょう。
- 出来るだけ離れた視点から見るように意識する
- 遠くにおいた視点から見るほど臨場感が弱まり、客観的に見ることができる
- さらにそこにいるのは自分ではなく「別の誰か」だと上書きしていく(より客観性が高める)
- そうして「もう終わったこと」と思う
- そう思っている自分をさらに客観的に見つめる
- もう一度しっかりと脳に「過去のことである」ことを認識させる
いかにツライ記憶を「客観的」に見ることができるかが重要です。
集団セラピーなどで自分の経験を語るような治療では、人前で道筋を立てて話すことで、自分の抱える問題に客観性を持たせて認識させるといった狙いもあるのでしょう。
そうすることで、「過去のこと」として区切りをつけることが大切になります。
ちょっとしたイメージトレーニングのようなものなので、自分自身と落ち着いて向き合う時間と、視点を置き変える練習が必要ですね。
しかし時にはそうして立ち止まって、自分を客観視できるようになることが、不妊治療のツライ記憶から立ち直るために必要なことなのかもしれません。
まとめ
- 初めての胚移植は見事に玉砕しました
- ツライ記憶を封じ込めて不妊治療を続けると、どこかに歪みが出てきてしまう可能性がある
- 自分の中にある感情を吐き出す勇気と相手(場所)を見つけましょう!
というおはなしでした。
不妊治療の結果は、やっぱりか~って感じでした。
これも一種の自己防衛で「悪い結果になる」と考える癖がついているところもあります。
まあ実際、不妊治療を始める前の生活はボロボロの状態だったので、どうしたって楽観視はできませんでしたが。。。(´-∀-`;)
小さな子供のように、楽しいときは「楽しい」といっぱい笑って、辛いときは「つらい」といっぱい泣いて、喜怒哀楽を素直に感じられるようになったら、ずっと豊かな人生になりそうですね。
年齢を重ねるほど生き方や考え方を変えるのは難しいですが、アドラーは「これまでの人生に何があったとしても、これからの生き方に何の影響もない」として、過去の経験は変えられなくても、これからの未来は選択次第で変えられるとしています。
気になった方はアドラー心理学の本を読んでみてくださいね^^
私もまずは自分の中で自己完結する悪癖から、一歩前へ踏み出してみたいと思います。