はっきりとした女性因子も男性因子も見当たらず、精液検査の結果も正常範囲内なのに、妊娠できないことが続いている原因は「精子の質」にあるかもしれません。
男性不妊の原因はまだまだ解明されていない部分が多いとはいえ、生活習慣を改善することで「精子の質」を向上することができると言われています。
まず、精子の質が低下している現状と、精子の質が低下する原因、そして精子の質を改善する方法をまとめました。
目次
世界中で精子の質が低下している?
スペインのマドリードにある不妊治療クリニック、IVIマドリードの院長を務めるフアン・アントニオ・ガルシア・ベラスコ医師によると、彼の不妊症患者の約半数に、「精子の異常」が見られるという。
医師の主張では、卵子の質と精子の質が、妊娠の成功率に同等に寄与している。
また、この50年間、精子の質は低下し続けており、この見解は、数多くの国際的研究でも明らかになっている。
現在、世界中で不妊治療が行われるようになり、その結果、浮き彫りになってきたのは「精子の質の低下」。
実際に以下のような研究結果も発表されています。
北米、欧州、オーストラリア、ニュージーランドなどの男性の精子の数が、40年で半減したという研究結果が発表された。(中略)
高所得の地域(北米とオーストラリア、ニュージーランド、欧州)で暮らす男性の精子数は、1973年から2011年にかけて約52パーセント少なくなり(中略)射精1回あたりの精子の総数も59パーセント減ったと推定されている。(中略)
研究グループは、この減少は「精子数が、低受胎あるいは不妊に関する閾値をも下回る男性の割合が増えていることを示唆している」と述べている。(中略)
※日本人男性の精子数は、フィンランド男性の精子数の約3分の2など、調査した欧州4カ国・地域と比べて少ないという研究結果が2006年に発表されている。(中略)
引用元:「欧米男性の精子数、40年で半減」は少子化につながる? イスラエルでの研究結果から判明
逆に低所得の地域ではこういった現象は起こっていないそうです。
高所得の先進国だけで精子の質の低下が見られているということは、原因は現代社会における問題(生活習慣や環境汚染など)にあるのではないかと指摘されています。
日本も例外ではなく、以下のような報告もありました。
メンズヘルスクリニック東京が564人の精子の濃度や運動率を検査したところ、約17%の男性の精子がWHOの基準を下回ったと報告。
このように他人事ではない精子の質の低下。
一体どうしたら食い止められるのでしょうか?
「精子の質」とは何か
「質の良い精子」とはつまり、受精し着床する力があり、かつ、妊娠を継続させる力のある精子のこと。
以前、不妊治療と発達障害の関連についての記事でも書きましたが、精子は加齢によって遺伝子が損傷し、精子のDNAがダメージを受けます。
年齢が上がるにつれ、その割合が高くなることがわかっています。
すると自然淘汰により流産率が上がり、妊娠の継続ができなくなるのです。
(この自然淘汰をすり抜けた精子が発達障害の因子になると言われています)
このように、精子の遺伝子が傷ついた状態のことを 精子DNA断片化(Sperm DNA Fragmentation : SDF)と言います。
造精機能の低下
精子は1日に何千万〜何億個も作成され、その中には傷のある精子が混じっています。
しかし精子細胞は、他の細胞のようにDNAを自己で修復する機能を持っていません。
そのため、精子数や運動率が正常範囲でも、精子DNA断片化(DNAの損傷)の割合が高くある場合には、妊娠の継続が難しくなります。
パートナーに異常がなく、精子数・運動率が正常値であってもなかなか妊娠しないケースは、精子の質が低下しているためと言えます。
男性の不妊検査についてはこちら。
精子の質の低下の原因
女性も男性も、生殖機能の加齢による劣化は避けられません。
しかし、加齢だけが「精子DNA断片化」の原因というわけでも無いのです。
卵子の質の低下には活性酸素が影響しているという記事の内容は、実は精子にも同じことが言えます。
精子は精巣でつくられて射精するまでの短い間にも、活性酸素の影響を受けます。
ある報告では、30~80%の男性不妊患者に活性化酸素による精子のダメージが見られたそうです。
つまり活性化酸素を発生させる因子を取り除けば、卵子だけでなく、精子の質も向上すると考えられます。
男性の不妊因子についてはこちら。
男性不妊の改善方法① 活性化酸素を作らない
活性化酸素の原因になるもの
- タバコ
喫煙は、精液量・精子濃度・運動率・正常形態精子率・総精子数など、精子の質のあらゆる指標を下げます。
タバコを吸うと血管が収縮して血流が悪くなって、勃起不全(ED)を起こす一因となり、精子DNA断片化も招くと言われています。
- 太り過ぎ
肥満(BMI30以上)も、精液量・精子濃度・運動率・精子総数が低くなるという研究結果があります。
また不妊男性は、その他の生活習慣病を併発している確率が高い傾向があるそうです。
- 飲み過ぎ
またアルコールを飲みすぎると、精液量を低下させ、身体にも負担がかかります。
同じようにカフェインのとり過ぎも良くないとされています。
- 心理的プレッシャー
過度のストレスが溜まると、精子濃度や精子運動率が下がるそうです。
これら、喫煙・肥満・飲酒・ストレスは、全て体内の活性酸素増加の原因になります。
まずはこのような生活習慣を出来るだけ無くすことが、結果につながる妊活の第一歩になると言えるでしょう。
活性酸素の撃退法をもっと詳しく知りたい方はこちら。
活性化酸素を減らすもの
上記のような生活習慣が続くと、活性酸素が量産されていきます。
活性酸素は、白血球からも放出されるので、精巣の炎症も一因にもなるそうです。
その活性酸素に対抗するものが「抗酸化物質」になります。
経口抗酸化療法といって、抗酸化物質が含まれる食品を摂取することで、精子DNA断片化の減少につながるというわけです。
抗酸化物質として有名なのは以下になります。
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先生曰く、ルイボスティーはたくさんあるけど正規品はこれだけだとのこと。
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ビタミンC、E
メラトニン
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あと精子検査キットもあるので、それも嬉しい。
こういった抗酸化食品を3カ月以上続けることで、一定の効果が出ると言われています。
簡単に取り入れられるサプリメントで活性酸素に対抗しましょう!
男性不妊の改善方法② 禁欲期間を短くする
禁欲期間が長いと精子DNA断片(SDF)を引き起こすと言われています。
精子の所見は、すぐに変化していきます。
「射精していない」期間が長くなると、如実に運動率は低くなってきます。
妊活中に適切な禁欲期間とは
禁欲する期間について調べた学術記事(Fertil Steril 2005; 83: 1680)によると、以下のような結果になったそうです。
もともと精子の数が少ない男性の場合
- 禁欲期間を1日とした場合に最も精子運動率が良い
- 禁欲期間を0~2日とした場合に正常形態精子が最も多い
正常精子数の男性の場合
- 検体禁欲期間が11日以上になると、精子運動率と正常形態精子がともに低下
つまり、精液検査で成績の良くなかった場合は、2~3日ためただけても、だんだん運動率が落ち、欠損精子が増えます。
総精子数が少ない、運動率の低い方ほど、1~2日ごとに射精する必要があることが分かったのです。
また、精子の状態が良く、健康な方であっても、7~10日ごとの射精が望ましいとされています。
精子は卵子と違って、数に限りがあるわけではなく、日々作られるものなので、ためることで逆にどんどん古くなっていってしまうのです。
妊娠するために最適な精子を作るには
古くなった精子は酸化し、そこから活性酸素が産生されます。
その活性酸素が、精子や精子のDNA損傷を与えてしまうために、妊娠率が下がってしまうのです。
体外受精・顕微授精だけでなく、人工授精やタイミング療法でも、妊娠を目的とするからには、いかに良い精子を得るかがカギになってきます。
つまり活性酸素にさらされていない「新鮮な」精子である必要があるわけですね。
さすがに毎日射精するのは難しいかもしれませんが、2日に1回は射精を心がけるようにすると、精子の質が改善する可能性があるそうです。
男性不妊の改善方法③ 精巣へのダメージを減らす
精巣は実はとってもナイーブ。
日々のちょっとした心がけで、精巣を元気にすることができます。
精巣を元気にする方法① 熱をこもらせない
精巣が熱によるストレスに非常に弱いということがわかっています。
陰嚢温度が上昇すると、精巣にダメージを与え、性腺ホルモンであるFSH(卵胞刺激ホルモン)の上昇や、精子DNA断片形を引き起こすと考えられてます。
したがって、膝上でノートPCを使わない、長風呂、長サウナは控えるなど、できるかぎり精巣付近を温め過ぎなくする事が重要なのです。
精巣を元気にする方法② 圧力をかけない
長時間、精巣の血管が圧迫されて血流が悪くなると、活性酸素がたまり、精子を傷つけてしまうそうです。
- 自転車・バイクに乗り過ぎない
長時間の自転車やバイクの走行は、サドルの刺激で男性器付近の血流が悪くなりやすく、さらに会陰部、陰のうの下辺りの細かい血管にダメージを与える可能性があります。
- 座りっぱなしの生活を避ける
海外の研究では、1日5時間以上座ってテレビを見る人は、その習慣がない人と比べ、精子の数が30%少ないという報告があるそうです。
これらは、ED(勃起不全)・精子の減少・運動率の低下など、精子に悪影響を与えることが分かっています。
精巣を元気にする方法③ ブリーフよりもトランクス
これは上記の①・②に通じることですが、ブリーフやボクサーパンツなど体にフィットした下着は、ゆったりしたトランクスなどに比べて圧がかかり、熱がこもりやすいと考えられます。
実際に、使用している「下着別」でグループに分けて精巣機能を調べたところ、フィットした下着を着用しているグループは、精子濃度・総精子数・運動率が低い結果となったそうです。
ふだんの服装も、ボトムは風通しの良い少しゆったり目を心がけるといいかもしれませんね。
男性不妊の改善方法④ 男性ホルモンの活発化
男性の生殖には男性ホルモンが欠かせないもので、性欲・勃起を促し、精子の成熟にも関係しています。
男性ホルモンが低いと、勃起障害(ED)・性欲低下・倦怠感・不眠など、妊活には不利な症状が出てきてしまいます。
男性ホルモンが減る原因① 男性ホルモンのサプリ
海外では男性ホルモンを薬で摂取することも一般的だそうですが、安易に男性ホルモンを外から取り入れてしまうのは危険です。
- 男性ホルモンを摂取
- 脳が十分な量があるから、精巣を休ませても良いと判断
- 卵胞ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が低下
- 精子を作る機能も休んでしまう
このように、妊活には男性ホルモンのみの大量摂取は向いていません。
自分の精巣をきちんと働かせて、自らの力で男性ホルモン・精子を作ることが大事なのです。
男性ホルモンが減る原因② 育毛剤を飲まない
飲み薬による薄毛の治療は非常に効果があるそうですが、男性型脱毛症(AGA)の治療薬でプロペシアが多く含まれていると、男性ホルモンの作用を抑制してしまう働きがあります。
すると、それが原因で精子の所見を悪くしてしまうのです。
具体的には、性欲減退・総精子数の減少・勃起障害(ED)などの原因になることが指摘されています。
男性ホルモンが減る原因③ 睡眠不足
男性ホルモンの一種のテストステロンは、脳からの信号を受けて分泌され、精子の形成を促すホルモンで、主に睡眠中の夜間につくられます。
このストステロンが不足すると、精子がうまく作られず、総精子数が減ったり、運動率が悪くなったりします。
睡眠時間が6時間半未満だと、7時間以上の人より、精子の数が2割も少ないことが分かっているそうです。
理想は7~9時間だそうで、睡眠の質も大切になります。
- 日中は適度に体を動かす
- 睡眠の3時間前に夕食を終わらせる
- ぬるめの湯船につかる
- 決まった時間に朝日を浴びる
- 休日も生活サイクルを崩さない
このように睡眠の質を上げる方法を取り入れ、適切な寝具や調光で、熟睡できるような環境を整えることが、男性ホルモンを増やすことにもつながるのです。
男性ホルモンが減る原因④ 運動不足・過度の運動
男性ホルモンは、運動で筋肉に刺激を与えると、血液中のテストステロンの数値が高くなることがわかっています。
しかし過度に運動すると、テストステロンまでも消費されてしまうので、「運動のやり過ぎ」も良くありません。
日常生活としては、筋肉トレーニング・有酸素運動など、毎日続けられて無理のない範囲で行うことが大切です。
特に大きい筋肉を鍛える方が効率もいいので、お尻や太もものストレッチやスクワット運動などがおすすめです。
ちなみに男性ホルモンは、趣味の時間や友人や家族と楽しく過ごす時間など、日常の刺激も良いとされています。
充実した日々を過ごすことも大事なんですね^^
男性不妊の改善方法⑤ 食生活の改善
食生活は体つくりの基本です。
良質な精子をつくるには、どのような食事がいいのでしょうか。
精子の質を上げる成分とは
オメガ-3脂肪酸(DHA+EPA)の摂取
オメガ3脂肪酸やビタミンCなどは、活性酸素をおさえる物質です。
これらをより多く摂取した男性は、摂取していない男性よりも総精子数が多いことが分かっています。
ナッツや魚類に多く含まれます。
オメガ-3脂肪酸を効率よく摂取!

本当に驚きです、悪玉コレステロール値(LDL)が下がりました。
続けてみます。
葉酸、ビタミンB12、亜鉛の摂取
亜鉛、葉酸は精子数増加につながり、また葉酸は精子DNA断片化を低下させる働きがあります。
ニンニクや、オクラ、レバーなどに多く含まれます。
亜鉛のほかに活性酸素を減らすコエンザイムQ10も!

飲み始めて一ヶ月半でまだまだ妊娠には至らずですが、気持ち的にも前向きになれるというか、明るい未来が待っている気がしてきます。
お値段はお安くはないですが、丁寧な梱包、ポスト投函という受け取り易さ、飲みやすさが嬉しいです。
しばらく続けていけそうです。
精子の質を上げる食事・下げる食事
精子に良いとされる地中海料理は、不妊治療中の女性にもいいとされています。
- オリーブオイル、全粒穀物、野菜、果物、豆、ナッツが豊富
- チーズやヨーグルトも頻繁に食される
- 魚介類、家禽(ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウなど)が多い
逆に下記のような食品の摂取割合の高い食事は、総精子数の減少など精液所見の低下と関係しているという報告があります。
- 高脂肪、赤肉または加工された肉
- 飽和脂肪酸が1日のカロリーの10%を超える(肉などに多く含まれる)
- 精製した小麦などの穀類
- お菓子
- 加糖飲料
このような食事を夫婦で避けて、和食や地中海料理を中心に心がけることで、体質の改善が期待できますね^^
まとめ
- 精子は加齢だけでなく、活性酵素の増加で精子DNA断片を招く(生活習慣の改善)
- 男性ホルモンのテストステロンの減少で精子の質が低下する(運動・睡眠)
- 精巣の圧迫や熱を避け、禁欲期間を短くして、食事に気を付け、夫婦で仲良く過ごすことが大事!
というおはなしでした。
肥満、喫煙、カフェイン・アルコールの過多、ストレス、睡眠・運動不足…。
せわしない現代、誘惑が多くて疲れてしまってる方が多いと思います。
でも精子は74日のサイクルで新しくなるので、こういった生活習慣を見直すことで、ある程度改善するといわれています。
もし妊活を頑張ろうとするならば、夫婦で協力して、日常生活を「楽しく」「ていねいに」過ごす必要がありそうですね。