女性側の不妊原因には、排卵因子・頸管因子・子宮因子・卵管因子などがあり、中でも最も多いものが卵管因子によるもので、全体の30~40%を占めると言われています。
不妊治療を始めると、まずは一通りの不妊検査を受けますが、今回はその中でも「卵管疎通検査」についてと、卵管の通りをよくする方法・卵管癒着が起こる原因についてまとめました。
卵管疎通検査は、子宮や卵管の通り具合を調べる検査のことを言います。
私が受けた検査法は、子宮卵管造影法、子宮鏡検査、さらに詳しく追加検査をするためのMRI撮影がありました。
それぞれの検査の内容や費用、当日の流れ、副作用、気になる検査結果まで、詳しくお伝えします。
目次
卵管の通りをよくする方法とは
卵管が何らかの原因で通りが悪くなっていると、妊娠率が下がり、完全に閉塞していると不妊の原因になります。
まずは、なぜ卵管癒着が起こるのか原因を調べました。
卵管が狭窄・癒着・閉塞する原因
卵管が狭かったり詰まったりしている卵管障害が起こる原因は様々ですが、多くは炎症による癒着が発端になっています。
クラミジアなどの感染による炎症
日本国内の感染者数は100万人以上といわれ、感染していても気づかないまま過ごして、卵管の閉塞や周囲の癒着を発症してしまう場合があります。
クラミジアに感染を繰り返すたびに、卵管性の不妊症になる確率が20%ずつ高くなるとも言われています。
子宮内膜症による癒着
子宮内膜症とは、なんらかの原因で子宮を覆っている子宮内膜が子宮以外の場所に根付いてしまう病気になります。
最初は小さな内膜からの出血ですが、しだいに大きくなり周囲の組織と癒着が起こります。
その他
- 骨盤内感染症
- ペッサリー(子宮内避妊具)の使用
- 骨盤内または下腹部の手術
- 卵管での子宮外妊娠
- 子宮筋腫 など
卵管障害の原因の60%以上はクラミジア感染症と言われるほど多いそうです。
抗生物質によってクラミジア感染症の治療はできますが、すでに起こっている卵管障害はクラミジアの治療では治りません。
私はまさにこれで、全くの無自覚・無症状でいつ感染したかも心当たりがなかったので、かなり驚きました…!(;゚Д゚)
クラミジア感染症に関して詳しくはこちら。
子宮の通りをよくする方法① 西洋医学
卵管障害の有無を調べるには、子宮卵管造影検査や通水・通気検査を行います。
卵管が完全に癒着しているのではなく、単に狭くなっていた場合、検査によって卵管が広がる治療効果が期待できます。
卵管が詰まっている場合は、卵管の通りをよくする手術もあります。
・子宮卵管造影検査
・通水検査(子宮鏡検査)
卵管の手術
・腹腔鏡手術
・卵管鏡下卵管形成術
子宮の通りをよくする方法② 民間療法
民間治療では漢方やマッサージなどもあるようです。
一方で、漢方・中医学の場合は”湿熱”や”瘀血阻滞”などによって起こっていると考えられますので、それぞれに対応する漢方薬を使うことで改善が可能な場合も十分にあると考えます。
科学的な統計は見つけられませんでしたが、漢方で改善があったという事例が色々と紹介されていました。
また身体のツボをマッサージやストレッチで刺激したり、理学療法士の施術で骨格や筋膜を正常に戻すことで、子宮の血流を改善し、間接的に卵管障害の回復につなげるという説も。
婦人科系の問題で考えてみると、子宮や卵巣の筋膜の癒着がメカニカルな問題で、ホルモンバランスの乱れがケミカルな問題となります。
この体の構造の変化による「メカニカル」な問題を取り扱うのが私たち理学療法士です。
卵管障害がある場合の妊娠率とは
山形県の不妊治療クリニックのHPで、卵管障害の妊娠率の統計を取っていたデータがあったので、抜粋してご紹介します。
卵管通過性と妊娠率(抜粋)
今回の調査では両側通る場合と、片側だけ通る場合で、妊娠率に違いがありませんでした。
両側通らない場合は妊娠率が低いですが、妊娠した例が少数ありました。
造影剤の腹腔内拡散と妊娠率(抜粋)
子宮卵管造影の後、腹腔内に入った造影剤の拡散が、良とやや良の場合に妊娠率は高いですが、不良の場合は低い傾向でした。
通過量が少ない場合は、妊娠率は正常でした。少しでも通れば妊娠は成立するということです。
子宮卵管造影法の治療効果(抜粋)
子宮卵管造影は、油性の造影剤を子宮と卵管に注入しますが、治療効果もあることが知られています。
今回の調査でも、施行した318例の内、27例(8.4%)が2周期以内に妊娠しています。
このように卵管癒着があっても妊娠は不可能ではありません。
しかし、そもそも不妊治療で加齢などのリミットがある場合は、様々なことを総合的に考慮して治療計画を立てていく必要があります。
以下からは、私が「卵管の通りが悪いかもしれない」という診断を受けるまでの流れと、診断を受けてからの治療の選択肢、その中で何を選んだかを順を追ってまとめたものになります。
卵管造影検査と子宮鏡検査の費用(不妊治療3回め)
不妊治療を始めて半月。3月の後半も検査三昧です(^_^;)
3回目は、子宮鏡検査(子宮ファイバースコピー)や子宮頸管造影剤撮影があり、不妊治療の中で肉体的に負担の感じる検査になりました。
この日の診察料金は、保険診療が7990円、自費は4360円。
合計12,350円 になりました。
なんやかんや検査や薬が出て、保険の三割負担でも高額です( ノД`)
それぞれの検査費用
・907点の三割負担で、2,721円
・卵管疎通用カテーテル(自費)3,240円
・合計 5,961円
子宮鏡検査の費用
800点の三割負担で、合計 2,400円
実費でも、卵管造影検査は20,000円、子宮鏡検査は10,000円くらい用意しておけばいいと思います。
子宮鏡検査(子宮ファイバースコピー)とは
子宮鏡検査と呼ばれ、 胃カメラのようにファイバースコープを子宮口から挿入し、生理食塩水を子宮内に流がしながら子宮内腔を観察する検査になります。
子宮鏡検査の方法
子宮の内腔(赤ちゃんが育つ場所)を見るために作られた径の細い内視鏡を使用します。
腟を通して子宮の入り口から子宮の内腔へ子宮鏡を挿入して、子宮内腔の様子をモニターに映し出すことができます。
径が5mm以下の検査用軟性子宮鏡(ファイバースコープ)を用いるのが一般的です。
子宮鏡検査の目的
- 一般的な不妊原因やART(体外受精)のスクリーニング検査
- 粘膜下筋腫の有無・筋腫による内腔変形の状態の観察
- 流産、中絶後遺残絨毛組織の診断
- 不正出血の原因検索
- 不育症検査、子宮形態異常の診断
子宮鏡検査で分かること
超音波やCT検査などでは観察できない子宮内を特殊カメラで視診します。
- 頚管部、体部、両側卵管口を確認
- 内腔にポリープ、筋腫などの異物がないか
- 内腔の形態異常がないか
- 月経周期に合った子宮内膜の状態か etc
子宮鏡検査の時期や流れ
月経終了直後から、月経10日目までが望ましい。無月経ではいつでも可能。
子宮鏡検査ができない場合
出血がわずかでもある場合は行えませんが、極少量の出血の場合には可能な場合もあります。
個人差により、子宮の入り口が狭い( 5%くらいの頻度)と薬を使用する場合もあるので、後日に延期することも。
- 採尿
- 検査の説明
- 経腟超音波検査
- 子宮鏡検査
子宮鏡検査に時間はかからず、数分間で終わってしまいます。
検査終了後に処方される抗生物質の内服薬(トミロン)は、検査後にすぐ内服。すべて飲みきって、無事に終了です。
子宮卵管造影剤使用撮影とは
ヨード造影剤を注入してレントゲン撮影をして、卵管の通過性を調べるための検査になります。
子宮口から造影剤を注入し、時間の間隔をあけながら何回かレントゲンを撮ることで、卵管采(卵管の先端)から腹腔内に拡散していく様子を調べるものです。
子宮卵管造影検査の目的
- 子宮のかたち
- 卵管の通過状態
- 卵管周囲や骨盤内の癒着の状態の評価
子宮卵管造影検査の造影剤とはどんなもの?
無色透明で、レントゲン写真で撮ると白く写ります。
造影剤の種類には、水溶性造影剤と油溶性造影剤があります。
胃の検診で使われるバリウムもそのひとつで、通常あまりよく写らないものを白く写し出すことができます。
卵管の通りをよくする方法としても有名
付加価値として卵管に対する高い治療効果が期待できるそうです。
造影剤を注入することで卵管が拡張されたり、軽い癒着が剥がれたりする効果に加えて、ヨードが持つ殺菌効果も功を奏しているのではないかと言われています。
油溶性で約33%、水溶性でも約17%が検査後に妊娠に至ったとの報告もあるほど。
子宮卵管造影検査の時期や流れ
月経終了直後が望ましいとされ、排卵前に行う必要があります。
子宮卵管造影検査の検査ができない場合
- 過去に造影剤でアレルギー反応を起こした
- 特殊な薬内服中
- 甲状腺機能亢進症
- クラミジア感染症未治療
- 腎機能が悪い
- 生理中
バリウム使用による胃腸造影検査後は、約1週間は他の検査はできません。
他のクリニックで油性造影剤を使用した子宮卵管造影検査をした場合は、後半年間は同じ検査はできません。
- 膣内を消毒
- 子宮の中へ細い管(カテーテル)を挿入
- 造影剤を注入しながらレントゲン撮影
- 注入しながら2~4回行う
前述の子宮鏡検査の流れで、セットで行うことが多いようです。
水溶性造影剤の場合
当日、管を抜いて15~30分程度座ったり歩行した後に、さらに追加で1回レントゲンを撮り、結果がその場でわかるという利点があります。
油溶性造影剤の場合
翌日にレントゲン撮影をして、検査結果がわかります。(私はこっちでした)
子宮卵管造影検査の副作用や注意事項
子宮鏡はファイバースコープで見るだけですが、卵管造影検査では造影剤が使用されるため、痛みや副作用を感じる事があります。
子宮卵管造影検査の副作用
- 熱感(ポカポカした感じ)
- くしゃみ、かゆみ、発疹、吐き気、嘔吐
- ひきつけ、呼吸困難、血圧低下、意識消失(非常にまれ)
適度な水分補給は「副作用の発生頻度をより少なくする」といわれております。
水分をとって、気を楽にして検査に向かいましょう。
卵管造影検査や子宮鏡検査時の服装
- ふんわりスカートの着用がおすすめ
ズボンでも問題ありませんが、完全に脱ぐ形になります。
また、タイトなスカートも検査には向きません。
- ブーツの着用は避ける
検査台の昇り降りがあるので、着脱が簡単なタイプの靴やサンダルがおすすめです。
- タイツやストッキングは面倒
検査の際に脱ぐようになるので、靴下や素足だと楽です。
要するに下半身の脱ぎ着が楽な格好がいいということですね^^
オールインワンなどは間違っても着ていかないようにしましょう!
子宮卵管造影検査後の注意事項
- 5日前後、出血が続き止まらないことがある
- 卵管、卵管周囲の炎症を起こす可能性がある
(38度以上の発熱や強い腹痛がある場合は病院へ連絡!)
- 当日から入浴可能
- 出血がなければセックス可能
検査で痛みを感じても、その後問題なければ卵管造影後に夫婦生活を持っても問題はないようです。
しかしデリケートな部分で、傷や炎症を起こしやすいので、無理はせず経過観察を行いましょう。
卵管造影検査と子宮鏡検査を受けた感想
どちらの検査も、麻酔や点滴が必要な検査ではないので我慢できないほどではないですが、子宮頸管から物理的にスコープや造影剤を入れられるので痛かったです( ; ; )
私は特に造影剤の方が、重い生理痛のような痛みを感じて、かなりきつかったですね。
下から下腹部全体がキュ〜っと押されて、イタタタ…となるのに加えて、パンパンに張る感じ!
痛みに強い私でも嫌だったので、ナイーブな方はけっこうな負担を感じるのではないでしょうか(*_*;
子宮卵管造影検査と子宮鏡検査の診断結果
診察室に戻ると、先ほど撮影した子宮部のレントゲン写真がパソコンの画面に映し出され、左右の造影剤が浸透していく様子を見ます。
子宮鏡に関しては、ポリープなどは見つからず、子宮内腔の状態は問題ないようでした。
子宮卵管造影検査で問題発生
しかし卵管造影検査の結果は、思いがけずにグレーゾーンΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン
- 若干、左の卵管の浸透速度が遅い
- 細いだけか癒着もあるのか、どちらかの可能性があるかもしれない
ということでした。
少なくとも片方の卵管が通っていれば、自然妊娠や人工授精といった一般不妊治療での妊娠も可能との説明がありましたが、「かも」ではなくてクロかシロかはっきりしないモノなんでしょうか。。。
しかし、今回は油溶性の造影剤だったので、翌日の診察まででワンセットの検査になります。
まだこの段階では断定できないので、明日の様子を見てからにしましょう、ということになりました。
不妊治療の3回めの通院で、早くも暗礁に乗り上げた不妊治療の検査ですが、果たして結果は⁈
卵管造影検査2回目の費用(不妊治療4回め)
翌日に子宮卵管造影剤検査の続きで、24時間経ってから子宮内〜腹腔内の拡散の様子をレントゲン撮影をします。
保険診療で1,005円。
レントゲン撮影とその保存だけなので、高くなかったです。
子宮卵管造影検査の最終的な診断結果
2日間の総合結果として、以下のような診断になりました。
- 完全な癒着や詰まりではないが、右に比べると左の通りが悪い
- 積極的な治療方法は、卵管の手術をするか、体外受精かの2択になる
- ただし今回の造影剤検査で、若干の改善が見られる可能性もある
まさかのグレー判定のまま(´;ω;`)
つまり結果が曖昧のまま、次の行動を決めなくてはならないということです。
そこで、②であげられた卵管の手術とはどのようなものなのか調べることにしました。
卵管の通りをよくする方法とは
卵管の通りをよくする方法には、今回受けた卵管造影検査での造影剤の使用があります。
卵管に液体を通すことによって、狭窄や閉塞部の開通効果が期待できるそうですが、もちろん100%ではありません。
それがダメだった場合の選択肢には、卵管癒着(狭窄)の手術があり、大きく分けて2種類の手術から選ぶ形になります。
卵管の通りをよくする手術① 腹腔鏡手術
卵管采が閉じている、癒着がひどい、詰まりが卵巣(卵管末端部)に近い場合に行われます。
おなかに1cm程度の穴を3つ程あけ、そこから腹腔鏡を用いて手術するものです。
腹腔鏡手術が適応される症例
- 卵管、卵巣などの癒着剥離(卵管の通過性の検査)
- 月経痛や不妊原因検索
- 子宮内膜症病変に対する手術
- 子宮筋腫の核出
- 卵巣嚢腫の摘出
- 子宮外妊娠の手術
腹腔鏡手術のメリット
子宮や卵管、卵巣などに妊娠を妨げる異常がないかどうか、腹腔内を直接モニターで見ることができるため、他の検査ではわからなかった異常が見つかる可能性があります。
特に初期の子宮内膜症や軽い癒着などは、腹腔鏡以外に見つける方法がありません。
また、開腹手術よりも体のダメージが少なくて済みます。
腹腔鏡手術のデメリット
- 開腹手術よりも手術時間が長い
- 皮下気腫などの特有な合併症
- 手術操作が難しいため、術者の技量に差が出る
- 施設によっては対応していない
卵管の通りをよくする手術② 卵管鏡下卵管形成術
症状が軽い、術後に一定期間の観察が可能な場合は、先端が広がるバルーンカテーテルを膣内から卵管まで挿入して、卵管の癒着を直接取る手術が選ばれます。
卵管鏡下卵管形成術が適応される症例
子宮卵管造影検査や子宮鏡検査で、片側あるいは両側の卵管閉塞、または高度の狭窄所見が近位に確認された場合が適応になります。
遠位狭窄病変や卵管水腫病変には適応にはなりません。
卵管鏡下卵管形成術のメリット
手術で卵管を再開通させることができれば、タイミング療法や人工授精による妊娠が期待できます。
治療後2年間で約30~35%に妊娠が成立し、平均妊娠成立までの期間は、7~8 ヶ月。
卵管鏡下卵管形成術のデメリット
卵管障害の程度によっては、卵管の再開通ができない場合があったり、再開通に成功しても術後早期に卵管の再閉塞や再狭窄が生じる場合もあります( 10%未満)
卵管内の狭窄が解除されても、卵管内部の構造は元にもどらず機能が回復しないこともあります。
卵管の手術と体外受精の違い
どちらの卵管手術も「卵管の治療を目的」に行われるものに対し、体外受精はダイレクトに「妊娠する事を目的」とするものになります。
健康診断などで卵管異常が見つかった場合であれば、経過観察や卵管の治療を優先してもいいでしょう。
ただ不妊検査では、妊娠することが治療目標なので、そこまでの道のりを計画的に考える必要があります。
- 長い目で見た時、2人目3人目を望んだ際に自然妊娠を期待できる
- 卵管の手術は保険が利くので、約10万円前後の自己負担で良い
それに対し、体外受精の場合は基本的に自費で高額になり、一回ごとに心身にかなりの負担がかかります。
ただし「妊娠すること」に関しては、直接的な治療になるので一定の効果を期待できます。
ここで体外受精を選んで一気にステップアップするのか、不妊の原因をひとつずつ潰して時間をかけて治療を進めるのかが分かれ道となります。
まずは卵管の狭窄や癒着は、不妊治療でどのくらいの弊害になるのか調べてみました。
卵管障害は不妊の原因になる
卵管は排卵した卵を吸い上げ、受精した卵を育てながら子宮まで運ぶ大切な役割を持っています。
卵管が詰まっていたり、傷ついていたりするために不妊になっているケースが多くあります。
卵管閉塞・狭窄
- 卵管閉塞は卵管がふさがっている状態
- 卵管狭窄は卵管が狭くなっている状態
➡ 治療しない限り自然妊娠は望めず、なぜこの状態が起こるのかよくわかっていません。
卵管癒着・卵管周囲癒着
- 感染症により卵管内で炎症が起きている状態
- 卵管内や卵管の周囲が癒着している状態
➡ この症状があると受精率が低下したり、授精しても着床しない可能性があります。
卵管水腫
- 細菌に感染した卵管に炎症が起きる
- 卵管の先の卵管采にまで広がり、膿や水がたまった状態
➡ 卵管水腫があると着床障害を起こし、不妊の原因となります。
卵管の通りをよくする方法の選択肢
- 卵管の手術 ➡︎ 人工授精 or 自然妊娠 で行くか
- 卵管問題をすっ飛ばして、直接採卵 & 体外受精で直に妊娠を目指すか
- もしくはしばらく様子を見て改善を期待するか
私の場合は、この3択ということですが。。。
まだこの時点では、卵管因子の原因がハッキリしていないこともあり、すぐには決断できませんでした。
見えないところに不妊の原因があったら?
なぜならば、今まで妊娠に至っていなかった理由が「卵管が原因」なのだとしたら、その原因を取り除けば妊娠できるかもしれないわけですよね。
ただ曖昧に「卵管の可能性がある」だけならば、他に見えない原因があった場合、卵管の手術をしたからといって妊娠できないので、ただの時間とお金の浪費になります。
まずそこをハッキリさせたい! と思いました。
追加の検査を行うことに
そう伝えると、先生はあっさりMRI検査を勧めてきました。
まさかの先送り~Σ( ̄ロ ̄lll)
って感じで、その日は帰宅。
主人に相談したところ、とりあえずキチンと調べてもらったほうが良いのではないか、という事になりました。
依頼すれば造影剤検査のデータをDVDに記録して、紹介状も書いてくれるということだったので、お願いすることに。
私の通院経験のある総合病院といえば、実家近くの大学付属病院しかなく、はからずも近い未来に転院する総合病院に、後日MRIを撮りに行くことになったのでした。
大学病院への紹介状の費用(不妊治療6回目)
ここからは、大学病院でのMRI検査についてまとめます。
不妊治療の3回めで卵管癒着疑惑、翌4回目でもその疑惑は晴れず、さしとて確定もされず。。。
今回は舞台を大学病院に移し、卵管癒着不確定事件の続編になります。MRI撮影の結果が出て、ようやく決着がつきます!
6回めの通院は、大学病院にもっていく紹介状代で1,500円。
大学病院の領収書をなくしてしまったので正確ではないのですが、MRI撮影は5,000円くらいで、その他に初診料やら診断料やらがかかった気がします。
卵管造影検査の次は大学病院でMRI撮影
3月3日の初診から不妊治療を始めて、3月末にMRI検査の予約が取れたので、さっそく大学付属病院に向かいました!
不妊クリニックはしばらくお休みで、(妊娠中にでお世話になる母子胎児科ではなく)今回は婦人科になります。
婦人科は縁遠かったのですが、待合室が引き戸つきで完全個室になっていて、お洒落ソファーが並んでいたり、他の科と違って女性がリラックスできるような雰囲気でした。
MRIとは
MRIとは、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の略。
レントゲンのX線は使用せず、強い磁石と電磁波を使って体内の状態を断面像として描写する検査になります。
特に脳や脊椎、四肢、子宮・卵巣・前立腺といった骨盤内の病変に関して、より詳細に検出することができます。
MRI検査当日の注意事項
- 検査内容によって、食事や水分の摂取制限の指示が出る
- 金属部のない下着を着用するか、検査時に外す
- コンタクトレンズや眼鏡は外す
- アイシャドー、マスカラなどの濃いメイクは禁止
- ジェルネイル、マニキュア、ペディキュアは禁止
MRIで検査室に持ち込めないもの
- 眼鏡、補聴器、入れ歯
- 貴金属類(ヘアピン、ネックレス、腕時計、ブレスレット、イヤリング、ピアス、指輪など)
- エレキバン、シップ、ホッカイロ
MRI撮影の前準備
MRIを撮る時はジェルネイル禁止という事で、前日にオフして今回は準備万端です。
MRI撮影室の前に、ベンチと簡易更衣室があり、まずは更衣室で荷物を鍵付ロッカーにしまって、貴金属を外し、検査着に着替えます。
着替えが終わると、ベンチで簡単に流れを説明され、その場で腸の動きを止める筋肉注射(痛い) 。
しばらくして名前を呼ばれると、スタッフさんに案内されて分厚い扉の中へ。。。
MRI撮影の様子
検査台に座ると、検査内容と副作用の確認があり、造影剤の点滴をセットされます。
目の前には、テレビでしか見たことがなかった、大きな白いドーム状のトンネル。
海外の医療ドラマでよく見てた!
少し緊張したまま撮影のベットに横になると、ささっと手足と腰の部分をベルトで固定されます。
万が一具合が悪くなった時のブザーを握らされて、最後にヘッドホンをつけました。
MRIの撮影がスタート!
先生方が部屋から退出すると、撮影ベットが動き出してトンネルの中まで入っていきます。
ヘッドホンからは音楽が流れていますが、ぶっちゃけ360℃から聞こえてくるMRIの工事現場のような騒音の方が大きいです(^^;
造影剤が入れられると身体に熱いものが流れ込んできて、ドクドクする感じですごーく不快!
ヘッドホンから聞こえる指示は、
といった感じで、レントゲン撮影の時とあまり変わりません。
自分が寝ている検査台が行ったり来たりで、まだ終わらないのかな〜って思い始めた頃に終了。
撮影自体は15〜20分くらいでしょうか。
MRIの副作用
人によっては起き上がる時のふらつきや、蕁麻疹が出る事もあるそうですが、私は特に不快症状はありませんでした。
- 吐き気
- 熱感
- 皮膚の異常
- くしゃみ
- せき
- 倦怠感
- めまい など
このような症状が一時的に起こることもあるそうです。
しかし副作用の頻度は、軽いものを含めて約1~2%ほどで少ないようですね^^
検査結果が分かるのに1週間ほどかかるので、予約を取って、この日は終わりです。
卵管癒着と不妊治療の関係
4月に入って、大学付属病院まで撮影したMRIの検査結果を聞きに行きました。
この結果次第で不妊治療の方向性が変わってきます。
はたして卵管因子が不妊原因とハッキリ診断されるのでしょうか?
卵管を撮影したMRIの検査結果
何度も画像を見比べた結果、先生の所見は。。。
疑いがあるって診断になるかなぁ。
気になるのであればマイナスになる事はないし、好転する可能性はあるかもしれないね~
うぬぬ。
何ともはや。。。また曖昧な(ーー;)
まさかの大学病院でもグレー判定という結果に!
でも、より詳細なMRI画像での所見で「疑いあり」に留められたということは、「完全な原因ではない」ということがハッキリした様に思えました。
その他の不妊検査についてはこちら。
主人にホウレンソウ
さっそく主人に報告・連絡・相談いたしました。
- MRIでも卵管閉塞は見られず、問題があるほどの卵管狭窄も癒着もなかった
- ただし、やってみてもいいんじゃね? 的なことを言われた
- 二人の医師ともども、卵管の手術を強く勧める風ではなく、選択肢のひとつといった様子だった
2人目を自然妊娠したいという希望があれば、卵管の手術はありといったところでしょうか。
着床率についてはこちら。
卵管の通りをよくする方法で自然妊娠ができる確率
卵管鏡下卵管形成術を受けた場合、妊娠できる確率はどれくらいになるのか、もう一度確認すると。。。
- 手術後、2年間で約30~35%に妊娠が成立
- 手術後の平均妊娠成立までの期間は、7~8 ヶ月
- 10%未満の確率で、 卵管の再開通ができない・術後早期に卵管の再閉塞や再狭窄が生じる可能性がある
夫婦の年齢による妊娠率のこともあわせて考えてみました。
- 2年後には、私35歳と主人41歳
- 35歳オーバーでは自然妊娠の妊娠率は18%
どれも楽観視できる数字ではありませんよね(;´・ω・)
もしうまい具合に完治したとしても、確実に妊娠に至るわけではなく、その間も卵子の老化は進んでいきます。
そして年齢を重ねることで、また新たな不妊原因が出てくるとも限りません。
男性因子についてはこちら。
夫婦で出した結論
卵管問題をすっ飛ばして、体外受精に進む!
ということで話がまとまりました(^-^)
- 年齢による妊娠率の方が心配だった
- もともと体外受精から始めることを視野に入れていた
- 2人めはまだ考えていないので、卵管因子の完治は必須項目ではない
夫婦のスペック的にも、より確実な体外受精の方が合っていると思いました。
最初に夫婦で不妊治療の説明を聞いていたので、現状の洗い出しと予測される事態を想定した結果、「リスクヘッジ一択!」とスムーズに話がまとまって良かったです。
もし私と主人があと5歳若かったら、卵管の手術の選択をしていたかもしれませんね~(;^ω^)
結果として私たちは初心を貫き、次のステップへ進むことにしましたけども。
年齢と妊娠率についてはこちら。
不妊治療での夫婦関係は大事
不妊治療ではたびたび選択を迫られる時があります。
今回は問題も起きずに済みましたが、治療方針の違いで夫婦で意見がぶつかることもあるでしょう。
その時にちゃんと話し合いが成立できるのか、冷戦状態で立ち止まってしまうのか。
普段からの関係性と不妊治療の知識共有は、夫婦でストレスなく話し合えるためにはとても重要だなあと思いました^^
夫婦関係についてはこちら。
まとめ
- 卵管因子が疑われる場合でも、自然妊娠や一般不妊治療で妊娠する可能性はある
- 検査や手術などで卵管の通りをよくする方法があるが、一度開通しても再び卵管癒着が起こることもある
- 改善できなかった場合や、年齢などのリミットがある場合は、体外受精を勧められることも
というおはなしでした。
私たち夫婦の場合は、卵管の治療はせずに一般不妊治療をショートカットすることになりました。
その理由はすでに挙げていますが、それ以外にも私の不妊治療に対するスタンスも関係していたと思います。
- 自然妊娠に全くこだわりがない
- 最初から体外受精に進むことにマイナスイメージがなかった
- (主に私が)短期決戦型 ←
「できるだけ自然に近い形で妊娠出産したい」という希望が多い日本では、一定の期間でステップアップしていく方式が不妊治療では一般的です。
しかし晩婚化が進んでいる昨今では、不妊治療を始める年齢も年々上がっています。
そして不妊治療の現実である「精子と卵子の加齢問題」は想像以上にシビアでした。
その一年、その半年の決断が遅かったために、妊娠できる確率がどんどん下がる可能性もある、ということを知ったうえで治療を進めていくことが大事だと思います。
「時間は限りあるもの」と考えて、場合によっては生殖補助医療技術からのスタートも辞さないという夫婦の気持ちが、結果として不妊治療の近道に繋がったと感じています。