どういった方法が最善なのか考えている幼児の写真です。

不妊治療では妊娠成立の為に、まずホルモンを補充しながら、卵巣の調整と子宮内膜の調整を行います。

体外受精はさらに「受精・胚分割させて子宮に戻す」ところまで人工的に整えていきますが、妊娠するにはさらに着床する必要がありますよね。

そこで今回は着床の仕組みと、着床の為に子宮内膜を整える重要性についてまとめました。

卵胞を育てるために、どの薬を使用して投与期間をどれくらいにすれば「最善の結果」が得られるのか、ホルモン補充周期の治療方法について調べました。

治療について知ることで、不安をなくしたい・早く妊娠したいという方の参考になればと思います。

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着床の仕組みついて

妊娠するためには当然ですが、胚盤胞を子宮に戻したあと「着床する」必要がありますよね。

では、着床率を上げるためにできる事には何があるのでしょうか?

着床とは、受精卵から胚となり、卵管を通って成長しながら子宮内膜に達し、接着して胎盤を作って母体と「酸素や栄養のやりとり」を行える状態になる事をいいます。

着床の始まり

  1. 胚は子宮内膜に接着させると、内側に潜り込みを始める
  2. 胎盤をつくり母体の子宮へ侵入する
  3. 胚の細胞層の中に腔ができ、そこへ母体の血液が入る
  4. 母体の酸素と栄養を胚子(胎児)が利用するようになる(胎盤の始まり
  5. 子宮内膜上皮が、胚の潜り込んだ場所を修復する


胚盤のもとができて着床の終了となります。

こうして母体と胎児はつながり、お互いの血液が混じり合うことなく、酸素や栄養のやりとりができるようになるわけですね。


胚は酵素を分泌することで、子宮内膜細胞を分解して
侵入していくそうです。

たしかに胚の「見た目の良さ」よりも生命力が大事と言われるのがわかります(^^;

環境が整った子宮とは

  1. 受精卵の状態と、子宮内膜の状態の、着床可能な時期が同調している
  2. 子宮内で受精卵を着床させる準備が完了している
  3. 十分な厚さの子宮内膜がある(一般的には7mmくらい)
  4. 胚盤胞になり、透明膜を脱いだ状態で接着する


こうして初めて着床となり、胎盤形成が進んでいきます。


④に関しては、孵化補助法で着床率を上げる方法もあります。


妊娠反応の仕組み

  • 胎盤がHCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)を分泌し、卵巣に働きかける
  • 卵巣から黄体ホルモンが分泌される(妊娠の維持)
  • 胚の細胞が増殖していき、HCGの量がさらに増加
  • 母体の尿や血液にも検出できるようになる


妊娠判定には、血液検査か尿検査で行われます。

そこでホルモンの検出がされると、晴れて妊娠反応が陽性となるわけです。

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着床率を上げるためにできる事

着床率を上げる① 卵子の質の改善

一番は胚の質と言われていますが、成長のスピードが早い・形のよい、いわゆる「グレードの良い胚」を子宮に戻したからといって、必ず着床するわけではありません。

胚の生命力と見た目は比例せず、胚の生命力に関係するのは染色体です。

例え着床しても、染色体異常があると化学流産を起こしてしまうのもそのためです。


まずは卵の質を上げることが大事です。


着床率を上げる② 子宮内膜を整える

また、子宮内膜には着床可能な時期が決まっています。

胚移植を行う場合は、その時期をはずしてしまうと、どんなに良好な胚を移植しても着床できません。

つまり妊娠するためには、胚の成長スピードと子宮内膜の変化(増殖期~分泌期)が、同じペースで進む必要があるのです。


体外受精で凍結胚移植を選択した場合、胚の成長スピードのコントロールはできていることになります。

また、初期胚ではなく、胚盤胞まで成長しているものであれば、より着床率は上がります。



そこで重要になってくるのは子宮内膜のタイミングです。

自分のタイミングを把握しよう

  1. 子宮内膜の変化(早い場合が多い)
  2. 胚盤胞の成長(個人差が大きい)
  3. 染色体異常(=卵の生命力)
  4. 受精卵のDNA自己修復機能(=卵の質の良さ)


こういった点をよく吟味して、個人個人に合った治療をしていく必要があります。


例えば化学流産までは行ったという方の場合、その時に着床は無事にしているわけですよね。

受精卵と子宮内膜のタイミングが合って着床できたわけですから、次回もそのやり方に沿った方法で進めばいいわけです。

 

着床率を上げる③ 子宮内膜の変化をコントロールする

採卵後に重要になってくるのが、子宮内膜の変化です。

体外受精は採卵をはさむため、子宮内膜の変化より、胚の発育スピードの方が遅れてしまいがちです。

そのため、ホルモン補充期で子宮内膜を調整して胚移植を行う場合が多くなります。

ホルモン補充の目的

  1. 排卵期頃から卵胞ホルモン(エストロゲン)を補充することによって、子宮内膜が厚みを増す
  2. その後、黄体ホルモン(プロゲステロン)を補充することによって、より着床しやすい環境を作る
  3. 卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが崩れると着床率が下がるので、バランスを整える


内服薬や注射、腟坐薬など、個人のホルモン状況に合わせたホルモン補充が必要となります。


しかし病院によっては、パターン化したホルモン補充しか行っていない場合もあります。

一般的な子宮内膜の変化やホルモンバランスから外れてしまっていると、なかなか着床までいかない可能性があります。

こういったホルモン補充についての説明が薄かった場合は、どこまで個別の治療が可能か積極的に相談したほうがいいかもしれません。

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着床率を上げるホルモン補充期の治療

不妊治療のホルモン補充周期では、卵胞ホルモンが増える薬(E2製剤)と黄体ホルモンが増える薬(P4製剤)の組み合わせで、個人に合わせて子宮内膜を作っていきます。

以下からは私が行った治療の様子をまとめてあります。

ホルモン補充周期の治療費用

治療開始から5カ月目に入りました。(初期に1カ月お休みしてるので、実質4ヶ月)

プラノバール錠を飲み終わり、生理2日めに来院。


プラノバール錠とは
黄体ホルモンと卵胞ホルモンを補うことにより、これらのホルモンバランスを整える働きがある。

月経周期や血量の異常、月経時の諸症状などを改善する。

機能性子宮出血、月経困難症、月経周期異常、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全などの治療に使われる。



8/13  全体で23回め、自費で 4,400円 です。

本日からエストロゲン補充を始めることになります。

ホルモン補充周期のメリット・デメリット

メリット

  • エストロゲン・プロゲステロンを補うことによって、着床率が上がる
  • 自然周期では妊娠しにくい場合でも妊娠が期待できる
  • 移植日がずれにくので、通院のスケジュールを組みやすい



デメリット

  • ホルモン剤を長期間服用するため、金銭的・身体的な負担が増えてしまう
  • 妊娠成立後も、妊娠6~7週までは投薬を続ける必要があるため、時間や精神面での負担が増える
  • 長期の治療でホルモン剤の副作用が出る可能性がある

 

卵胞ホルモン剤の種類

種類は貼り薬、飲み薬、塗り薬の3種類から選べます。

貼り薬 〈エストラーナ・テープ〉

天然型卵胞ホルモンを有効成分とし、エストラジオールが皮膚から直接吸収されます。

これにより子宮内膜の増殖効果は確実で、貼り薬と塗り薬は肝臓への負担が少ないことがメリットです。

  • 2日毎に貼り替える。
  • 貼りつける部位は、下腹部や腰部などの子宮周辺
  • 皮膚の刺激を避けるため、毎回少しずつ貼る場所を変える。
  • 包装から取り出すのは使用時のみにすること。
  • テープ剤をハサミなどで切っての使用不可

塗り薬 〈ル・エストロジェル 〉 

天然型卵胞ホルモンを有効成分とし、エストラジオールが皮膚から直接吸収されます。

これにより子宮内膜の増殖効果は確実で、貼り薬と塗り薬は肝臓への負担が少ないことがメリットです。

  • 皮膚刺激の少ないジェル型製剤で塗布跡も残らない。
  • 一定量が取り出せるプッシュ式ボトル。
  • 1日1回、2プッシュを両腕の手首から肩までの広い範囲に塗り広げるて使用。
  • 塗布直後はその部分を他の人に触れさせない。
  • 塗ってから1時間以内は、塗布部位を洗浄不可
  • アルコールを多量に含む化粧品、保湿クリーム、日焼け止めクリームなどの同時使用も避ける。

内服薬〈ジュリナ〉

飲み薬として初めての経口エストラジオール製剤です。

天然型卵胞ホルモンを有効成分とし、子宮内膜の増殖効果を目的に服用します。
既存の貼付剤で皮膚炎などを起こし継続できない場合に、その代替品として使用可能です。

内服薬 〈プレマリン〉

結合型エストロゲン製剤というホルモン剤で、ホルモン補充療法として使われています。

プレマリンを飲むことで、エストロゲンの分泌量の不足を補い、崩れたホルモンバランスを整え、子宮内膜を厚くする働きを持っています。

 

卵胞ホルモン剤の副作用

  • 乳房不快感
  • 乳房が張る
  • 乳房痛
  • 予定外の性器出血
  • 下腹部痛
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 腹部膨満
  • 腹痛
  • 貼付または塗布部位の皮膚症状(発赤・かゆみ、かぶれ)



結構な副作用です。。。
これが胚移植前~妊娠成立後から7週間続くわけですから、女性の負担は半端ないです。

男性の皆さん!
奥様を十分に労わってあげてくださいね(´;ω;`)

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黄体ホルモン補充周期の最善ルート

先生にオススメを聞くと、貼り薬ということだったので、エストラーナ・テープにしました。

エストロゲン製剤であるエストラーナ・テープ
は、「卵巣の調整」と「子宮内膜の調整」で使われます。

 

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エストラーナが最善な理由

プレマリン、ジュリナといった内服型のエストラジオール製剤は、肝臓を循環してから子宮内膜に届きます。

すると吸収されたはずの卵胞ホルモンが、腸から肝臓で循環している「肝初回通過効果」によって不活性化されてしまいます。

一方のエストラーナテープは、内服とは違って「肝初回通過効果」を通さずダイレクトに子宮に届くので、卵胞ホルモンのロスが少なくなります。

 

卵胞ホルモンの血中濃度ランキング

黄体補充期、胚移植時どちらも、血中濃度の高さは以下の順番になります。

  1. エストラーナ
  2. プレマリン  ↕
  3. ジュリナ   

 

エストラーナのメリット

  1. 卵胞ホルモンが安定して供給される
  2. 卵胞ホルモンの血中濃度が、飲み薬に比べて日中の変動が少ない。
  3. 飲み薬に比べて、静脈血栓症の増加のリスクが少ない。
  4. プレマリンにある血液凝固亢進のリスクが少ない。

 

つまり効果も高く、安定していて、リスクも少ないというわけです。

先生がエストラーナ・テープを選んだ理由もわかりますね^^

 

エストラーナ・テープで結果が悪い場合

肝臓に最も多く存在している薬物代謝酵素シトクロムP450・CYP)の代謝力には個人差があります。

肝初回通過効果」は通さないといっても、この代謝力が強いと結果に差が出てきます。

また、複数の薬物を併用するとそれらの代謝が競合することもあるので、他に飲み薬を服用している場合は、主治医の先生に相談しましょう。

また、肝臓の解毒作用が弱いと、競合する薬物は飲んでいないのに、卵胞ホルモン(E2)の出方がおかしくなることもあるそうです。

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エストラーナ・テープを使った感想

貼り薬で⁇ とびっくりしたのですが、血液に直接吸収されるので、負担も少なく効果が大きいそうですね。


直径3cmくらいの肌色で、絆創膏のような素材の薄くて丸いシールです。

1日置きに数枚ずつ貼りかえていきます。

しかも手術前までに枚数がだんだん増えていくという。。。 


副作用の記述にもありますが、ずーっと貼りっぱなしなので、赤くなるし痒くなるし跡は残るし。

最初は2〜3枚から、多い時は6〜8枚貼るので、できるだけずらして貼ろうにも貼る場所も限られているので被ることも多くなり、長く続けるほど肌の回復は弱まっていきます。


一言で言うと実に不快です(ー ー;)

私のように肌が強い方でこんな感じなので、肌が弱い方は大変だろうなあと思います。。。

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卵胞ホルモン(エストロゲン)の最善な投与期間

エストロゲンの投与方法は、テープの場合は1日に0.2mg
経口の場合は、または1日2回4mg投与としています。

その後のプロゲステロンの補充は、1日3回200mgの用量で開始していきます。

その結果、子宮内膜の厚さが6mm未満、プロゲステロン≧1.5ng / l の場合は胚移植はキャンセルになります。

 

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エストロゲンの投与期間は短期間が最適

エストロゲンの投与期間については、短期間(21日以下)の方が良い結果が出るという研究報告があるそうです。

2018年5月に発表されたフランスの報告です。(中略)

生児獲得率は、③エストロゲン投与29~35日群(OR = 0.66; 0.46~0.95)および④エストロゲン投与36~48日群(OR = 0.49; 0.27~0.89)において①対照群エストロゲン投与21日以下と比較して有意に減少していました。

流産率も④の36〜48日投与群(OR = 2.37; 1.12-5.05)が有意に高いという結果でした。(中略)

まとめとして、単変量解析でも多変量解析でもエストロゲン投与期間が生児獲得率に影響するようでした。


852人の女性、1377個の胚盤胞移植が行われ比較検討された結果、長期投与(29日以上)の群は、短期投与(21日以下)に比べて「生児獲得率が低く、流産率が高い」という研究報告になります。

つまり、母体年齢良質な胚といった条件のほかに、エストロゲンの投与期間も影響してくるということです。


エストロゲンの投与期間が長くなるということは、それだけ子宮内膜が厚くなるまでに時間がかかった為であると考えると、もともとの子宮環境が悪い場合は「生児獲得率が低く、流産率が高い」傾向があるといえるのかもしれません。


子宮の環境を改善するには血流を増やすといいそうです。

エストロゲン投与期間後の流れ

エストロゲン製剤の投薬開始から、二週間前後に超音波検査を行います。

  • 子宮内膜の厚さが十分か
  • 自然排卵する可能性はないか
  • 血液検査のエストロゲン値が正常か


それぞれの条件が満たされていれば、プロゲステロン製剤の投与を開始します。

もし検査結果でエストロゲン値が低かった場合は、エストロゲン製剤の使用量を増やしたり、黄体ホルモン剤の投与開始を延期する場合もあります。

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まとめ

  • 着床率を上げるには、質のいい卵子のほかに、条件とタイミングの合った子宮内膜づくりが重要
  • 子宮内膜を整えるエストロゲンは、安定供給とリスクの低いエストラーナ・テープがおすすめ
  • エストロゲンの投与期間は長期間にならない方が良いという研究結果がフランスでありました

 

というおはなしでした。


私の場合はもともとの子宮の環境が悪いので、ホルモン補充でどれだけ結果が出るのか不安です(´-∀-`;)

次回は13日後、今回のエストロゲンの投与の結果を見る形になります。

それ次第で胚移植の日にちが決定するので、ドキドキですね!!

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