妊娠中あるいは妊娠が発覚する前の超初期に、X線検査を受けてしまって心配! というお話を時々聞きます。

レントゲン検査は、妊婦は避けるイメージがありますが、何らかの治療で受けざるを得ない状況になった場合、胎児に悪影響はないのでしょうか?

病院での医療行為による各種放射線検査の被ばく線量と、考えられるリスクについてまとめました。


自然界の放射線を浴びてる女性の写真です。

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妊婦がレントゲン撮影しても問題はない!

私も妊娠中期に子宮頸管無力症で、子宮縫縮手術のマクドナルド手術を受けることが決まりました。(妊娠19週)

その際、今回の手術で必要な胸部のレントゲンと心電図のデータがないことが分かり、取り急ぎ撮ることになったと看護婦さんから告げられました。

放射線の心配は?

レントゲン検査の放射線が心配。。。と思う妊婦さんも多いですよね。

でも結論から言うと、問題はない様です


(中略)妊娠初期3ヶ月にMRI検査を受けた妊婦さんから生まれた子供を出産時から4歳児まで追跡して、MRIを受けなかった妊婦さんから生まれた子供と比較した研究で、9月6日号のアメリカ医師会雑誌に掲載された。

(中略)結論は極めて明快で、妊娠3ヶ月までの胎児が、様々な外界からの刺激に対して最も過敏性の高い時期にMRIを受けた場合でも、胎児の成長、発生異常、成長異常、ガンの発生率などで、MRIを受けなかった妊婦さんの子供と特に大きな差異はないという結果だ。

これで「MRIは妊婦さんにも安全ですよ」と言うことができる。



一般的には特に週数が上がるにつれ、その影響は少なくなると考えられており、 妊娠27w以降であれば気にする必要はまずないみたいですね。

1番気をつけるべきは超初期(妊娠2w〜3w)と初期(妊娠4w〜10w)と言われ、超初期では流産の危険が、初期では奇形や発育遅延などの影響があるとされています。

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放射線のリスクは?

被ばくで考えられるリスク
  • 受精~9日 … 胚死亡(流産)
  • 2週~8週 … 奇形
  • 8週~15週 … 精神発達遅延
  • 8週~出生 … 発育遅延


問題あるじゃん! と思われるかもですが、上記の様な影響が胎児に起こるとされる放射線の量は、100mGy(ミリグレイ)以上と国際放射能防護委員会で規定されています。

つまりそれ以下であれば、特に胎児に影響はないということです。


実際の検査の様子はこちら。

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X線検査で胎児に影響がある放射線の量って?

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放射線の単位

放射線の単位には、Bq(ベクレル)Gy(グレイ)Sv(シーベルト)があります。


単位が表すもの

Bq(ベクレル)
放射性物質の量がどれくらいあるか、放射性物質が放射線を出す能力のこと。

Gy(グレイ)
吸収線量 (吸収されたエネルギーで放射線の量)の単位で、 「もの」への 放射線から与えられたエネルギー量の値。

Sv(シーベルト)
「人」にどの程度の影響を与えるかで、放射線の量を表す。
実効線量の単位としても使われ、その人が受ける総合的な健康への影響の度合いを表す。



物に対するか人に対するかの違いはありますが、「1gy=1sv」となり、胎児の被ばく量を測るには、mgy(ミリグレイ)が使われています。

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日常にある放射線の量ってどれくらい?

地球には自然放射線というものがあり、人は宇宙や大気中から常に放射線を浴びています。

その量は年間で2.4mSv ほど。 
【 ※1mgy=1msv 】

日本の自然放射線の多い地域では、レントゲン検査の20枚相当にあたり、海外ではさらにその10倍の国もあります。 

内部被ばく

  • 空気中の吸入から 1.3mSv
  • 食物などから 0.33mSv

 

外部被ばく

  • 大地放射線から 0.41mSv
  • 宇宙線から 0.36mSv

 

医療における放射線の量ってどれくらい?

現代ではX線検査が一般的になっています。

健康診断や歯医者などで、 レントゲン撮影・放射線検査をして、あとから妊娠がわかって不安に思う方も多いかもしれません。

そこで、検査部位ごとの具体的な被ばく線量を見ていきましょう。

部位別のX線単純撮影(レントゲン撮影)

歯(パノラマ)0.01mgy以下
頭部0.01mgy以下
胸部0.01mgy以下
腹部1.4mgy
腰椎1.1mgy
骨盤部1.7mgy

 

部位別のCT検査

頭部0.005mgy以下
胸部0.06mgy以下
腹部8.0mgy
骨盤部25mgy

 

造影検査

バリウム検査
(上部消化器官)
1.6mgy
注射造影検査8.0mgy

 

妊婦のレントゲン検査の危険は低い

お分かりいただけましたか?


どの検査も妊娠期に危険とされる被ばくの数値(100mgy )よりも、はるかに下ですね。

妊娠に気が付かずに歯医者でレントゲン撮っちゃった! と心配されてる方、その必要はありません。

歯のレントゲンなら100回撮っても、たった 1mgy 。

それよりも妊娠中に歯を治療しないことによる早産の危険の方が怖いので、しっかり歯医者に通いましょうね!



妊婦の歯の状態が及ぼす赤ちゃんへの悪影響
はこちら。




数値の一番高い骨盤部CT検査でも、4回撮以上とって初めて影響が出る「可能性」があるとされているのです。

そう考えると、妊娠中でも必要な場合は医療機関にかかっても大丈夫だと言えますね^^

ただし、避けられるリスクもありますので、妊娠中である事はキチンと伝えましょう!


妊娠週数別の胎児の成長についてはこちら。

100mGy以下の放射線を浴びた場合の胎児へのリスク

では、100mGy( 胎児に起こるとされる放射線の量 )以下の放射線被ばくを受けた場合と、 人工的な放射線被ばくが全くない自然な場合と比べた時の差はあるのでしょうか?


100mGy以下の胎児線量では、放射線被ばくによる妊娠中絶に医学的な正当性はありません。

・通常の多くのX線診断検査においては、この100mGyという胎児線量を超えることは極めてまれです(一部の放射線治療などは除きます)。


・常に実施された多くのX線診断検査による出生前の被ばく線量では、出生前死亡・奇形・精神発達障害のリスクが増加して、自然発生率を上回ることはありません。

・100mGy以下の胎児線量での放射線誘発の小児がんや白血病のリスクは、自然バックグラウンドレベル(人工的な放射線被ばくがない)群と比べ、ほとんど差はありません。


・また遺伝的影響(生まれてくる子の子孫への影響)については、現在までのところ人間では発生していません。

・両親のいずれかが、妊娠する以前に生殖線への放射線被ばくがあったとしても、それにより生まれてくる子供に、がんあるいは奇形が増加するという科学的な根拠はありません。


・胎児がX線ビーム内に入らない検査(妊娠中の母親の胸部・頭頚部・四肢のX線検査など)では、胎児はほとんど被ばくをしていません。

なぜなら、撮影する部位に限定してX線を照射しているからです。

・妊娠に気づかないような妊娠早期の放射線被ばくでは、胎児への放射線の影響が極めて低いことが判明しています。



上記を読んでわかるように、一般的な医療行為の範疇では被ばくのリスクはほぼ無いという事がわかります。


妊娠のその他リスクについてはこちら。

まとめ

  • 妊娠中の医療行為におけるX線検査は、胎児に影響はないと考えて良い
  • 大量の放射線を浴びた場合に、考えられるリスクとしては、流産・奇形・心身の発達遅延などがある
  • 日本に住んでいる限り、自然放射線以上に浴びる可能性はほとんどないので、安心しよう!


というおはなしでした。


そもそも妊娠中の管理入院でレントゲンを撮るのだから、害があるわけありませんね(^^;

それでもリスクがあるなら避けたいと思う方もいるかもしれません。

必要に差し迫っている時に、妊娠を理由に本来受けるべき医療行為を受けないのはナンセンスですが、場合によっては放射線検査を受けなくてもいい選択肢を提示してくれる事もあると思います。

まずは医療機関に妊娠していることを報告し、納得できる説明と対応を受けるのが一番ですね。

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