採卵の次は、胚移植です。
胚移植をするにあたって、いくつかの選択肢があります。
初期胚か、胚盤胞か。
新鮮胚か、凍結胚か。
自然排卵周期か、ホルモン調整人工周期か。
どれがよいのかは、実際の採卵結果や条件によって異なるので、慎重に決める必要があります。
今回はそれぞれの胚移植法のメリット・デメリットをまとめました。
目次
胚移植の種類
採卵後すぐに移植を行うことを「新鮮胚」移植、受精卵を凍結して翌周期以降に移植することを「凍結胚」移植といいます。
胚盤胞移植の場合、採卵後に凍結保存して、着床環境が整う次の周期以降で移植するケースが増えています。
なぜかというと、子宮の着床できる時期が限られており、その期間を逃すと良好な胚を移植しても着床しづらくなるからです。
妊娠するためには、「着床に適した期間と環境」と「子宮に着床できる良質な胚」のふたつの条件が揃って初めて成立します。
凍結融解胚移植は、その適した期間に適した環境で選別された胚盤胞の移植を行えるので、妊娠率が向上するとされて日本で盛んに行われている移植法になります。
私も例にもれず、新鮮胚移植はせずに全ての胚を凍結したので、採卵した今周期は子宮をお休みさせます。
それぞれのメリットとデメリットを比べてみましょう。
新鮮胚移植とは
新鮮胚移植のメリット
採卵と同じ周期で移植も行うため、通院する負担と金銭的な負担などを軽減できます。
また新鮮胚移植を行うと、本来あるべき体内により早く戻せます。
受精卵を育てる培養液は、卵管内の環境に似せていますが、完全に同じとは言えません。
新鮮胚移植のデメリット
同じ周期での移植の場合、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激しているため、卵巣の腫れやホルモンバランスの乱れなど、女性の体が妊娠しにくい状態になっていることがあります。
女性ホルモンや黄体ホルモンの値が上昇しているので着床環境が不十分で、子宮が受精卵を受け入れる体制が整っていないため、着床率が約20%と下がってしまいます。
特に過去に新鮮胚で妊娠しなかった経験がある場合は、凍結胚移植を行う場合が多いようです。
ただし自然周期採卵や低刺激法では、卵胞ホルモン(E2)値の過剰や黄体ホルモン(P)の上昇は起こりにくいとされています。
自然周期採卵・低刺激法で採卵した場合や、初回の採卵で良好胚が複数個あり身体的リスクがないと診断された場合には、新鮮胚移植は選択肢のひとつになります。
凍結胚移植とは
凍結胚移植のメリット
新鮮胚移植の場合と違って、子宮内膜環境が理想的な状況になっていることを見極めてから移植に移る事ができるため、妊娠率は約35%と高くなります。
移植する胚以外に複数の良好胚が育った場合の保存の目的や、子宮を休ませることでホルモン治療の副作用(OHSS)の妊娠成立による重症化を予防することもできます。
凍結胚移植のデメリット
新鮮胚移植に比べて治療期間が長くなり、1クールの薬代などの費用がかさむようになります。
また凍結や融解すること自体が胚に多少のダメージを与える可能性があります。
そのため海外では無理に全ての胚を凍結する必要ないのではないかといった風潮があります。
ただし日本の凍結技術は世界トップクラスで、特に超急速ガラス化法では胚の生存率は約95%以上とされているので、融解ダメージのリスクはそう高くないそうです。
また次のクールの治療を考えた時に、卵巣刺激から胚培養までの流れをすることなく既存の胚で移植ができるため、その場合の身体的・経済的な負担が軽減されます。
凍結融解胚移植を勧められる場合
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
排卵誘発剤による卵巣刺激では、卵巣が腫れ、エストロゲンの分泌も大量になり、OHSSのリスクが大きくなります。
- 卵子が15個以上採れた
- 血中エストロゲン値が3000pg/ml以上
- 血中プロゲステロン値が高い場合 など
こういった状態で妊娠すると、OHSSが重症化する可能性が高く、それを避けるために凍結胚移植をします。
子宮内膜が薄い
排卵誘発剤によるホルモン環境の変化で、子宮内膜が影響を受け、着床にふさわしい状態にならなかったり、その時期がずれる(着床にふさわしい時期が早まってしまう等)ことがあります。
その他
- 余剰卵子が生じた場合
- 過去にOHSSの既往がある場合
- 過去に新鮮胚移植で妊娠に至らなかった場合
- 計画的に凍結保存を目的にしていた場合
- スケジュールが合わない
- 体調不良 など
自然妊娠・初期胚移植・胚盤胞移植の違い
凍結融解胚移植を選ぶと、基本的には胚盤胞移植を行うことになります。
自然妊娠の流れと比較してみましょう。
- 自然妊娠
卵管内で受精・分割し、5~6日後に胚盤胞の状態で子宮に到着。
約1~2日後に子宮内膜内に着床する。
- 初期胚移植
採卵後培養2~3日、分割した卵を子宮内に戻す。
子宮内で胚は胚盤胞まで発育させる。
- 胚盤胞移植
排卵後5~7日間、体外で胚盤胞まで培養し、グレードの良いものを選んで子宮内に戻す。
良質な胚を選べて理想的に見えますが、何か問題点はあるのでしょうか?
胚盤胞移植の問題点
胚盤胞移植の問題点① 胚の発育
どんなに理想的な条件の受精卵だったとしても、体外で胚盤胞まで発育するのは約50%程度。
一般的には受精卵の約30%程度が胚盤胞になると言われています。
つまり最終段階の胚盤胞まで発育しない場合が考えられるのです。
- もともと採卵および受精卵が少ない場合
- 年齢などで胚の質が不良と考えられる場合
そうなると、胚盤胞まで発育しないために、胚移植が中止となる場合があります。
胚盤胞移植の問題点② 胚移植日は未定
胚を体外培養すると、胚によって発育速度が違います。
そのため、前もって胚移植の日を決めておくことができません。
胚盤胞になるまでスケジュールをあけて待機しておく必要があります。
また、胚の質が不良で胚盤胞に発育しない場合には、肺移植自体がキャンセルになる可能性もあります。
胚盤胞移植の問題点③ 病院の質
より発育した胚を移植するので、基本的には胚盤胞移植の方が妊娠率が高くなります。
ただしその分、受精卵の培養期間が長くなるので、病院の管理の質に左右されるとも言えます。
- 培養における高度な知識
- 充実した設備
- 医師と胚培養士の確かな技術
すべての条件がそろった場合に最善の結果が出ます。
人間の受精卵は異常な卵の含まれる割合が高いので、半分以上の卵は成長が途中で止まってしまいますが、胚の成長は培養の環境に影響をうけます。
病院の技術レベルに大きく左右され、卵の質は簡単に悪くなります。
あまりにも受精率が低かったり、移植まで進める胚が少なかったりする場合は、セカンドオピニオンも視野に入れる必要があると思います。
最初の病院選びや、セカンドオピニオンのタイミングが重要になってきます。
凍結融解胚移植に決まりました
手術後の診察費用
全体で21回めになります。
保険治療で1,810円でした。
採卵手術後にかなりの痛みがありましたが、子宮の腫れも引いて大丈夫そうです。
私が凍結融解胚移植になった理由
- 一回で15個採れたので、卵巣のダメージが考えられたこと
- もともとホルモンバランスが良くなかったので、投薬で整えた方が良いと判断されたこと
以上の理由で新鮮肺移植は行わずに、全部の胚を凍結することになりました。
また自然周期ではなく、ホルモン調整人工周期になったのですが、その詳細は別記事にまとめます!
採卵から次の生理が来るまでの約1ヶ月半あまりを子宮の休息時間にあてて、ベストな環境に整えていく形になりました。
凍結保存費用
気になる料金は、私の通っていた病院では、基本料10,800円 + 一個につき10,800円。
つまり、10,800円 + (10,800円 × 5個) = 64,800円 ということになります。
後日、支払いをしました
こちらが今回の凍結保存代ななります。(初期費用 + 5個分)
これは初期費用になりますので、5ヶ月め以降に追加の保存料金がかかります。
個数や期間によって変わりますが、その時期を過ぎると一度お手紙でお知らせが来て、さらにそのままにしていると、期限を過ぎて6ヶ月めには自動的に廃棄されてしまうそうです。
ちなみに私たちの場合は7月に保存したので、12月で切れるわけですが、すっかり忘れていて、お手紙が届いた時もすぐには気が付きませんでした(;´∀`)
きちんとプライバシーに配慮されていて、普通の茶封筒に医院長の個人名で送られてきたので、先生のフルネームでピンと来ずに「?」でしたが、開けると廃棄同意書が入っててビックリ!
ちなみに妊娠した現在も一応、凍結は延長しています。
まとめ
- 新鮮胚移植と凍結胚移植は、子宮の着床条件が整うまで時期を待つかどうかの違い
- 融解時の胚へのダメージリスクよりも、良質な胚盤胞と理想的な子宮環境がそろった結果の「妊娠率の高さ」で凍結胚移植を選ぶ人が増えている
- 条件が合えば新鮮胚移植や自然周期移植もできるが、そもそも選べない場合もある(私です)
というおはなしでした。
ワンクールの費用はかかりますが、一回で妊娠できるとも限りませんし、着床率や妊娠率を考えるとこれで良かったんじゃないかな〜と思います。
ギリギリ33歳で採卵できて、7月は不妊治療を始めてからのひとつの大きな区切りになった夏でした。
次回は採卵結果についてと今後の流れ、凍結胚の保存や手術について、培養士から直接お話を聞きます。
聞き漏れがあると怖いのと、休日の土曜日に予約ができたので、主人にも同席を頼むことにしました(>人<;)
ここからまた次のステップに進んでいきます!